481 新たなタイムパラドックス ページ24
「ちゅーかキャプテン、いくらタイムトラベルしたからってうちの部員忘れてんのー？」
浜野が明るい調子でそう言う。
事態を把握できていないのは私たち……信長の時代にタイムジャンプしたメンバーだけのようだった。
「この間剣城にストライカー対決で勝たせてもらったので、現時点うちがエースってことにさせてもらってるやんね！」
女の子はそう言いながら髪をかき上げ、背番号を見せる。そこには確かにストライカーが持つ番号である「10」の文字があった。
本来ここにいるはずのない少女……これもタイムパラドックスの影響なのだろうか。
「そ、そうなの？ ところでその……君、名前なんだっけ？」
「しょうがないなー、じゃあ改めて自己紹介するね」
女の子はその場で一回転。
「菜花黄名子です！ よろしく！」
なのばな、きなこ。私は心の中で繰り返す。
戦力が増えた……と考えていいのだろうか。突然の展開にまだ頭が追い付いていないけれど。
「あれ？ Aさんが選手の格好になってる。チームの一員になったやんね？」
菜花さんの大きい瞳が私に向けられる。
急に水を向けられた私はしどろもどろとした。どうやら私が選手に転向したことなんかは知らないらしい。
「あ、まあ、うん。よろしく……菜花さん」
「えー、『菜花さん』なんてよそよそしいから嫌やんね！ 『黄名子』って呼んでほしいやんね！ 女子選手どうし仲良くしよっ」
菜花さん──黄名子は私の手を握ると、ぶんぶんと勢いよく握手をした。
……なんだか既視感を感じると思ったら、この子はうちの姉に似ているのだ。会わせてみたら一瞬で意気投合するだろう。
「ん？ この子はだあれ？ めっちゃくちゃ可愛いやんね〜！」
黄名子は今度はクロエの頬をぷにぷにと触り始めた。クロエは嫌がるでもなくされるがままになっている。
私はさっき三国さんたちにしたのと同じ説明をした。黄名子はぽかんと口を開けながら話を聞いていた。
「はえー、いつの間にそんなことになってたの？ やっぱAにはすごいポテンシャルがあるやんね！」
黄名子の言葉を、私は笑って曖昧に濁した。
ポテンシャル。
私は『選ばれたサッカープレイヤー』ということになるのだろうか。化身を発動させ、そして割かし短期間でアームドにも成功したから。
もちろんそれは、日々の特訓の成果とも言えるだろう。だけどクロエが人の肉体を持ったことにはもっと大きな意味があるのではないか……そう思った。
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キメラ(プロフ) - こーらふろーとさん» ありがとうございます！主人公の成長は力を入れて表現したところなのでそう言っていただけて嬉しいです！長い物語にはなりますがこれからも見ていただけたら嬉しいです😊 (2023年3月18日 12時) (
レス) id: 6fadaab96b (このIDを非表示/違反報告)
こーらふろーと(プロフ) - 初コメ失礼します！原作の良さを残しつつ、夢主の成長を描くこの作品に惹かれて、一気見してしまいました。これからも応援しています！ (2023年3月17日 12時) (レス) id: 636f6efcc2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：キメラ | 作成日時：2023年1月21日 14時
