480 謎の少女 ページ23
「こら、クロエ！」
「今のは狩屋が悪いな」
霧野が呆れつつそう漏らす。
ちっこいと言われたのがそんなに気に食わなかったのだろうか。クロエがこんなに他人に対して怒りをあらわにするのは初めてだった。
クロエはしばらく狩屋を睨みつけていたが、やがてツンと唇を尖らせると私の中に戻った。
「「ええっ！？」」
みんなの驚愕の声が重なる。目の前にいた女の子が急に黒い影となって私の中に収束してしまったのだ、非現実的な光景を見た人間の反応としては当然だろう。
クロエはすぐ外に出てきた。そうして面々の顔を順繰りに観察し始める。
みんなはとりあえず信じてくれたようだった。噛みつかれた狩屋だけは不服そうな表情をしていたが、クロエが受け入れられたことに私は安堵する。
「まあ、何はともあれ……Aが正式に雷門の一員として参加するのは歓迎だ。みんなはどうだ？ 異論はあるか？」
三国さんがみんなにそう聞くと、「異議なーし」「いいんじゃねえの」「改めてよろしく頼むド」といった好意的な反応が返ってきた。
胸の中にゆっくりと喜びが滲んでいく。私は一歩前に出た。
「サッカーを取り戻すために──チームの力になれるよう、全力で頑張ります！ よろしくお願いします！」
頭を下げると、隣にいたクロエが真似をして「おねがいします」とお辞儀する。
この瞬間、私は本当の意味で雷門イレブンの一員になれたのだと……そう思った。
それからすぐ、久々にみんなで練習をすることになった。
サッカー棟の取り壊しは豪炎寺さんが引き延ばしてくれているらしく、棟内での練習なら誰に咎められることもないだろうということだった。
早速第一グラウンドへ赴こうとした、その時。
「あー！ キャプテン、お帰りなさーい！」
急に扉が開いたかと思いきや、元気な声と共に見知らぬ女の子が入ってきた。
ボリューミーな茶髪のロングヘア、その頭にはオレンジのカチューシャが乗せられている。色白で体形は小柄、小動物のように愛らしい外見だった。
驚いたのはその子が雷門のユニフォームを着ているということだ。しかも私たちのことを知っているように見える。
「あ、どうも……ところで君、誰だっけ？」
「誰って……キャプテン、そんな冗談はやめてよー！ うちエースストライカーやんね？」
私はいよいよ首を傾げた。エースストライカー……全く話が見えてこない。
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キメラ(プロフ) - こーらふろーとさん» ありがとうございます！主人公の成長は力を入れて表現したところなのでそう言っていただけて嬉しいです！長い物語にはなりますがこれからも見ていただけたら嬉しいです😊 (2023年3月18日 12時) (
レス) id: 6fadaab96b (このIDを非表示/違反報告)
こーらふろーと(プロフ) - 初コメ失礼します！原作の良さを残しつつ、夢主の成長を描くこの作品に惹かれて、一気見してしまいました。これからも応援しています！ (2023年3月17日 12時) (レス) id: 636f6efcc2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：キメラ | 作成日時：2023年1月21日 14時
