475 一の力 ページ18
「本当に……本当に私たち、試合中に成功させちゃったね、アームド」
「ああ。でもAがアームドに成功した時は、正直焦ったんだ」
先を越された……そう思ったのだろうか。
だけど神童もやってみせた。新たな力を自分で掴み取れたのだ。
後半戦も残り時間はあと僅か。恐らくこのワンプレーで勝敗が決まる。
神童がレイザからボールを奪ったその時。
「神童ーー！」
ベンチからワンダバの大声。ミキシマックスガンを両手に構えている。
ここでやる気だ。一気に決着をつけるために。
光線が信長と神童に向かって放たれた。信長のオーラがミキシマックスガンを通して神童に注がれていく。
「ミキシマックス──コンプリート！！」
やがて光線が弾けると……信長の風格を漂わせた神童がそこにいた。
目付きは鋭くなり、頭には武士の髷のようなものが結われている。
これが、ミキシマックス。ついに成功したのだ。
「ふざけたことを！」
敵が三人がかりで切り込んでくる。
しかし神童は、華麗な動きで三人を一気に抜き去った。見事なスピードだ。
そのままディフェンスラインも突破、ゴール前に躍り出る。
「『刹那ブースト』！」
強力な必殺シュート。衝撃の余波が私たちの髪を靡かせた。
「キーパーコマンド──」
「入れさせねえ！ 『虚空の女神アテナ』──《アームド》！」
キーパーを差し置いて、自陣まで戻ってきていたベータが化身アームドでシュートを食い止める。
しかし、信長の力が乗ったシュートの方が上だった。競り負けたベータは吹き飛ばされる。
3-2。得点が切り替わると同時にほら貝の音が鳴った。
試合終了。勝った……勝てたのだ。
「やったあーーっ！」
私たちは手を取り合って喜んだ。全員で勝利を掴めたことに、私の身体は歓喜で打ち震えた。
その輪の中に、いつの間に外に出てきたのか、クロエもいた。私はその頬を両手で包み込む。
「クロエ、やったよ！ 私たち勝てた！」
私を信じて力を全力でぶつけてくれたから、アームドできた。流れをこちらに引き寄せることができた。
クロエは私の手に手を重ね、にこにこと笑いながら言う。
「おてがらだった？」
「うん、お手柄──大手柄だよ！」
私は感極まり、クロエの脇の下に手を差し入れてその身体を抱き上げた。腕の中に、質量を伴った人間の重みが伝わってくる。
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キメラ(プロフ) - こーらふろーとさん» ありがとうございます！主人公の成長は力を入れて表現したところなのでそう言っていただけて嬉しいです！長い物語にはなりますがこれからも見ていただけたら嬉しいです😊 (2023年3月18日 12時) (
レス) id: 6fadaab96b (このIDを非表示/違反報告)
こーらふろーと(プロフ) - 初コメ失礼します！原作の良さを残しつつ、夢主の成長を描くこの作品に惹かれて、一気見してしまいました。これからも応援しています！ (2023年3月17日 12時) (レス) id: 636f6efcc2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：キメラ | 作成日時：2023年1月21日 14時
