471 純白の鎧 ページ14
ゴール前には一夜城を完成させた三人のみが残っている。
太助たちならきっと大丈夫──そう信じて、私は敵陣に上がり始めた。
「もらった！ 『シュートコマンド08』！」
強力なシュートが叩き込まれる。太助たちは踏み込んだ。そして、
「「『一夜城』！！」」
そこには見事な城が顕現していた。シュートが完全にブロックされる。
太助たちはやり遂げたのだ。強大な敵に怯まず、プレッシャーを跳ね除けて。
──その思いを繋ぐんだ。繋いで、ゴールへ叩き込む！
ボールは錦へ。そして錦から、私へ。
「頼んだぜよ、A！」
パスを受け取り、一気に切り込む。
そのとき不意に、藤吉郎さんとクロエの声が、同時に耳の奥に蘇った。
──必ずしも化身と足並みを合わせる必要はないと、わしは思うがな。
──まだ、ふんばりきれない……Aに力をうまくそそげない。
足並み、踏ん張る、力を注ぐ──力。
……そうか、そういうことか！
「クロエっ！！」
走りながら大声で呼びかける。心臓が大きく拍動する。
「私に合わせようとしなくていい！ クロエの百パーセントを全力でぶつけて！ 絶対に全部受け止めるから！！」
きっと今まで、クロエは自分の持つ力を無意識にセーブして──私のキャパに合わせて、アームドを試みていたのだ。
しかしそれでは駄目だった。互いが互いを本当の意味で信頼しないと成功しない。
「『悠久の覇者クロエ』！」
ゴール前。私の叫びに呼応して、クロエが化身となって顕現した。
全身全霊、シンプルに。余計なことは考えず、この一撃に全てを賭ける。それが……私の出した答え。
「《アームド》っ！！」
そう叫んだ瞬間。
二つの歯車がぴったりと噛み合い、猛烈な速度で回転を始めたような感覚が全身を支配した。
クロエが幾筋もの光の束となって降り注いでくる。手、足、胸、頭──電流が走ったような衝撃が身体を巡っていく。
数秒後──私は白を基調とした鎧を全身に纏っていた。
重いどころか、とても軽い。地を蹴ればどこまでも空高く飛んでいけそうな、そんな力が湧いてくる。
できた……できたんだ、化身アームド！
前を見据える。キーパーとの一騎打ち。
シュート体勢に入った私の前に、割り込んでくる影があった。ベータだ。
「小癪な……調子に乗るんじゃねえ！ 『虚空の女神アテナ』──《アームド》！」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 206人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
キメラ(プロフ) - こーらふろーとさん» ありがとうございます！主人公の成長は力を入れて表現したところなのでそう言っていただけて嬉しいです！長い物語にはなりますがこれからも見ていただけたら嬉しいです😊 (2023年3月18日 12時) (
レス) id: 6fadaab96b (このIDを非表示/違反報告)
こーらふろーと(プロフ) - 初コメ失礼します！原作の良さを残しつつ、夢主の成長を描くこの作品に惹かれて、一気見してしまいました。これからも応援しています！ (2023年3月17日 12時) (レス) id: 636f6efcc2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：キメラ | 作成日時：2023年1月21日 14時
