316 未来からの刺客 ページ9
約一週間後。
サッカー教育プログラムの一貫である全国遠征から帰った天馬は、雷門中からサッカー部が消えているのを目の当たりにした。
移動したのでも、突然なくなったのでもない。サッカー部が最初からなかったことになっているのだ。
それを裏付けるように、神童や三国、さらには信助や葵までもが、サッカー部などここにはないときっぱり断言した。
サッカー部が無くなったことによって、部員たちは他の部の所属になっていた。いや、最初から他の部に入っていたような様子だった。
霧野、錦、狩屋、みんな、みんな……。
ただ、剣城とAの二人には会えなかった。校内のどこを探しても見つからなかったのだ。
この分だと二人もサッカーのことを忘れているかもしれない。そう思うと、天馬の心は沈んだ。
打ちひしがれる天馬の元に、アルファと名乗る謎の少年が現れた。
アルファは天馬に、自らの使命はサッカーを消去することだと淡々と説明し、天馬を十年前の沖縄──サッカーの道を歩み始めるきっかけとなった分岐点へタイムワープさせる。
これまで幾度もそうしてきたように、今回もつつがなく任務を遂行できる──そう確信していたアルファの予想に反し、天馬はインタラプトに抗った。サッカーの記憶が消去されなかったのだ。
実力行使に出たアルファ──と、その仲間にいたぶられてもなお、天馬は抗い続けた。
サッカーは邪悪、不必要。そんな思想を意地でも跳ねのけながら。
しかし──そこに第三の闖入者が現れた。フェイ・ルーンと名乗る少年だった。
フェイは自らを、天馬と同じくサッカーを必要とする者だと称した。そしてアルファたちに対戦を申し込む。
アルファのチーム──『プロトコルオメガ』ＶＳ、天馬率いる『テンマーズ』。
天馬とフェイ以外の選手は、どういう原理か、フェイが指を鳴らすと一瞬にして姿を現した。みなフェイと同じ髪色、目の色をしていた。
一進一退の攻防、レベルの高いプレーに、天馬ははじめ混乱した。ボールの行方を追うことすらろくにできなかった。
そして、アルファが見せた『化身アームド』。
化身を身体に融合させて鎧として纏うことで自分の姿を変化させる。使える時間は限られるが、化身を離れてコントロールするより遥かに大きな力を発揮出来る──フェイはそう説明した。
さらにその場に、第四の闖入者が現れる。
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作者名：キメラ | 作成日時：2022年11月2日 10時
