【イナクロ】君へ贈る旋律第八楽章【神童拓人】 (ページ1)

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＊　闇の中ページ1

ここはどこだろう。

なんか、ふらふらする。ちゅうぶらりんで、ずっとおちつかない。

くらくてせまくて、こわい。それに何もない。

いや……いっこだけあった。ちいさい、穴みたいなの。

そっとのぞいてみた。そこからはいろとりどりの、キラキラしたせかいが見えた。

ああ、これが……Aが見ているせかいなんだ。

あれはなんだろう。あれはだれだろう。Aはすごく楽しそう。Aのかんじるきもちが、わたしのこころにも伝わってくる。

音もちょっとだけきこえる。Aのこえ。なんの音？

これはあったかい。Aがなにか言ってる──ばいおりん？ばいおりんっていうんだ、これ。

ばいおりん。うた。ねいろ。いろんなことばがきこえてくる。わかりそうで、わからない。

もっとしりたい。さわってみたい。

いいな。わたしもおなじせかいを、じぶんの目でみてみたいな。じぶんの耳でききたいな。

Aみたいに、二本のあしであるきたいな。