318 第三の闖入者 ページ11
天馬の胸の中には、怒りの炎が灯った。
──どんな理由があったとしても、サッカーを消す権利なんて誰にもないのだから。
フェイも同じ考えを持っていた。だからここにいる、と。
「僕は天馬と一緒に、サッカーを守るよ」
そう言って笑ったフェイと握手を交わし、天馬は二人と──一人と一匹？──と協力し、サッカーを取り戻すことを決意した。
天馬たちはその足で、空飛ぶキャラバン──正確には時空間転移装置と言うらしかった──十一年前の雷門中にタイムジャンプすることになった。
雷門中サッカー部が消えたのは、サッカー部が作られる歴史のインタラプト──歴史を変更できる運命の別れ道──が修正されたことによるもの。プロトコルオメガはそこに介入し、歴史を作り変えている。
サッカー部を取り戻すためには、部が生まれた日に赴き、プロトコルオメガの介入を阻止する必要があった。
特定の時空間に飛ぶための道標──アーティファクトを探すため、天馬たちは一度現代の雷門中を訪れる。
天馬たちが今いる世界は、雷門中サッカー部が存在しない世界のため、旧サッカー部室は埃臭い物置と化していた。
どうにか『サッカー部』と書かれた木札を見つけ、それをアーティファクトとしてセットする。
そうして、ぐうんと身体が前に引っ張られるような奇妙な感覚と共に──天馬たちはタイムジャンプした。
十一年前の雷門中に到着した天馬たちは、円堂と秋がサッカー部を作るまでをこっそりと見守った。監督でもキャプテンでもない円堂の姿は、天馬の目には新鮮に映った。
しかし案の定、彼らの前にプロトコルオメガが立ち塞がる。
フットボールフロンティアスタジアムに飛ばされた一同は、再びプロトコルオメガ対テンマーズとして戦うことになった。円堂と共に。
時空の共鳴現象により、円堂はゴッドハンドを習得。さらに天馬は急速な成長を遂げ、プロトコルオメガから先制点を奪った。
さらに円堂は化身をも生み出してみせ、アルファのシュートを阻止。テンマーズの優勢で試合は進んでいく。
その時。
「その試合、俺も混ぜてくれないかな」
客席からそんな声がかかった。そこには一人の青年がいた。
初め天馬はそのシルエットを見て、剣城京介が来たのかと思った。
この時の天満は知る由もなかったが、彼はアルファたちにとっては『剣城京介のインタラプト修正によって生じたエラー』と認識されていた。
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作者名：キメラ | 作成日時：2022年11月2日 10時
