852 パワーアップ ページ45
「特別な力を持ってるのはお前らだけじゃねえんだよ！」
続けざまに二人の選手を吹き飛ばす。
──相手の動きについていけている。これならきっと……！
「ザナーク！」
フェイが上がってきた。二人の視線が交錯する。
ザナークは一瞬の間の後、パスを出した。受け取ったフェイは巧みなボールキープで選手たちを抜き去る。
そうしてボールは再びザナークへ。キーパーとの一騎打ちだ。
「俺様の必殺技を受けてみやがれ──今ここに再誕する！ 『グレートマックスなオレ』──スーパーーーっ！！」
「『リバースワールド』──ぐわあっ？！」
ゴールが割られた。
1-2。ザナークの力によって、点差を縮めることができたのだ。
快進撃にベンチも沸き立った。あの突破力があれば、ここからでも逆転できる！
「フェイとザナークを攻撃の起点にするぞ！」
「「おうっ！！」」
神童の指示に全員が頷く。
と、その時。
ザ・ラグーンの面々が、懐から試験管を小さくしたような物体を取り出した。中には黄色い液体のようなものが入っている。
そしてそれを、各々腰につけたベルトに差し込む。メンバーの身体から一瞬、オーラのようなものが立ち上った気がした。
一体何をしたのか。私の疑心はその数秒後、驚愕へと変わった。
試合再開。
ボールを持ったFWが上がってきた──先ほどの数段階上のスピードで。
私は口を半開きにしたまま、相手選手の動きを目で追う。あれはいよいよ、人間が出せるスピードじゃあない。
「アンプルを使ったんだ……！」
選手を追いかけながら、フェイが漏らす。
──彼らはアンプルに自分のオーラを保存し、それを取り出すことで、能力を上げることができる……と。
それは超能力を行使したということにはならないのだろうか。しかし今駄々をこねても始まらない。
クロノストームはすぐに守備を固めた。FWが完全に孤立する。
攻撃を食い止めるべく、黄名子、霧野、トーブのディフェンス陣が上がっていく。
だが。
ザ・ラグーンのDFが一人、後ろから上がってきていた。守備を捨てるつもりか……！
ノーマークのそいつにパスが通る。そのままシュート体勢へ。
「『スプリングアロー』！」
さすがは最強チームと言うべきか、DFだろうが当たり前にシュートを打ってくる。
対する信助はミキシマックスを解き、化身アームドで対抗した。
「『護星神タイタニアス』──《アームド》！」
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作者名：キメラ | 作成日時：2023年12月28日 11時
