822 スーパーザナーク ページ15
「そんなの──」
ありなの？ 思わず言葉を途中で呑み込んでしまうくらい、理解が追い付かなかった。
人じゃなくて自然災害とミキシマックスを果たしたというのか。己の身一つで。いやミキシマックスガンがあったところで成功率が上がるという次元ではないように思えるけれど。
「俺自身にもなぜそんな芸当ができたのかはわからねえ……だが一つだけはっきりしていることがある。クロノストーンを手にした時、俺に熱い何かが入り込んできたってことだ。それからだ……俺の中で何かが暴れ出すようになったのは！」
クロノストーン──それはきっと円堂監督のことだ。
監督の力とザナーク自身の力が作用し合って、真の力が目覚めたとでもいうのだろうか。
そして……時空最強の十一人目の選手として、その真髄を発揮しようとしていると。
ザナークは四人の敵に囲まれても余裕の表情を崩さなかった。右足をボールに乗せながら、悠々と語る。
「少しばかり喋りすぎたか……弱い奴ほどよく吠える。だが知ってるよな──俺は強いがよく吠える！ 究極に強くなった俺は、吠えて吠えて吠えまくるぜ！」
そしてその力を、裂帛の気合と共に顕現させた。
「《ミキシトランス・スーパーザナーク》！」
その立ち姿からは強者の雰囲気がありありと現れていた。
髪型が直線的になり、瞳は真紅から黄金へと変化している。これが……台風とミキシマックスしてしまったザナークの姿。
「ザナーク改めスパーザナーク──これからは俺様をそう呼べ！」
……そのセンスはいかがなものか。言ってることが中学生どころか小学生レベルだ。
しかし私たちが呆れたのも束の間、ザナークは目にも止まらぬ速さで駆けだした。
三人の敵が立ち塞がる。このまま突破するのは無茶だ──と思ったが、勢いよく天馬へパスした。
連携が繋がっている。まだ独りよがりな部分はあるものの、ザナークのプレーはちゃんとサッカーとして成り立っていた。
ディフェンスラインを突破したザナークは再びパスを受け取り、ゴール前へ躍り出た。
そうして……己の持つ力の120パーセントを解放する。
「今ここに再誕する！ 『グレートマックスなオレ』──スーパーーーっ！！」
荒れ狂う台風を彷彿とされセルシュートがゴールへ襲い掛かる。
対するキーパーは化身必殺技で対抗した。
「『白尾神タマズサ』──『シキガミラインズ』！」
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作者名：キメラ | 作成日時：2023年12月28日 11時
