767 正義と悪 ページ10
「君たちには、これより我々に協力してもらいたい」
みんなの表情が険しくなった。向こうの意図が全く読めない。
「エルドラドが
共に……。
ただでさえ私たちはそっちを目の敵にしていたのに、いきなり拉致まがいのことをして協力を仰いで、イエスという答えがもらえると思っているのだろうか。
その気持ちはみんなも同じだったらしく、車田さんが抗議する。
「いくらサッカーを返したからって、誰がお前たちに協力するか！」
「するさ──奴らの手には、円堂守が閉じ込められたクロノストーンがある」
しかし『円堂監督』という単語に、私たちは目を見開く。
監督を楯にされたら、私たちが頷かざるを得ないと思っているのか。だが実際そうであるだけに、強く反論できない。
「円堂監督が……セカンドステージチルドレンに？！」
「彼を救うためにも、奴らを倒さねばならないのだ」
「ていうかそもそも、そっちが円堂監督をクロノストーンにしたんじゃん」
クロエの言葉はもっともだ。それにどういう経緯で円堂監督が
「円堂監督は、俺たちの手で助け出してみせる！ お前たちのような悪と共に戦うつもりはない！」
「──なぜ我々を『悪』と言い切れるのかね」
しかし。霧野に対するトウドウの言葉は、私たちを返答に窮させた。
誰かの正義は誰かの悪。そういうことを今こいつらは、私たちに説こうとしているのか。
「我々がサッカーを消そうとしていた理由を知っているかね」
「それは……サッカーを消すことで、サッカーから生まれた存在である
「その通りだ。それはすなわち、世界を救うためなのだ！」
フェイの答えに、トウドウは両手を軽く広げた。
突拍子もない展開に、私は眉をしかめる。
「それを理解するためには、今この時代で起こっていることを知ってもらわらねばならない──」
トウドウはそう前置いて話し始めた。
未来で起こっている、世界崩壊の危機について……。
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作者名：キメラ | 作成日時：2023年11月5日 21時
