761 降り注ぐ栄光 ページ4
前線から上がってきた二人にパスを出す。
私に三人がかりで挑んだパーフェクト・カスケイドのディフェンスには穴が開いた。そこを突いたのだ。
二人はアイコンタクトを交わし、大きく跳躍する。
「「『エクストリームラビット』！！」」
予想外の選手からシュートを打たれたキーパーは反応しきれず、技を出す間もなく吹き飛んだ。
2-2……あと一点。
──特別であろうとする必要はない。
光が見えないのなら、光が見える場所までもがけ。それでもだめなら──自分の手で光を作ればいい。
「《ミキシトランス・沖田》──『菊一文字』！」
剣城へのセンタリングが決まり、三点目。
雷門の間に喝采が起きた。やった……やってみせたのだ。
そこで長い銅鑼の音が鳴る。
点は3-2。最後の最後で逆転することができた──私たちの、勝ちだ。
邪馬台国の兵士から、巨万の大歓声が上がる。
私はミキシマックスを解いた。肩で息をしながら前を見つめる。そうして目の前の事実を咀嚼した。
同時に、中からクロエが出てきた。クロエは数秒間じっと私の顔を見つめていたが、やがてはちきれんばかりの笑顔で、
「──やったああーーーーっ！！」
私の首元に飛びついてきた。受け止め切れず、そのまま押し倒される形で地面に転ぶ。
服に泥が染み込むのも気にならないくらい、私たちは最高の気分で喜びを分かち合った。
「凄い、凄いよA！ 合体技もミキシマックスも……Aだったからできたんだよ！ 信じてた！」
「わかった、わかったから落ち着いて、重いってば！」
達成感が疲労感を上塗りしていた。
チームのみんなが、日之芽さんが、そして
今日は、私のこれからの人生の中で最も魂が揺さぶられた日のうちの一つになるだろう。
泥だらけになって笑い合う私たちを、みんなも笑顔で祝福してくれた。
パーフェクト・カスケイドは、なんの捨て台詞も吐かず去っていく。
同時に
「A」
呼ばれて目を開けると、神童が私の顔を覗き込んでいるのが見えた。
クロエはそそくさと退く。私は半身を起こして、神童の差し出してくれた手を取った。
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作者名：キメラ | 作成日時：2023年11月5日 21時
