760 力をこの手に ページ3
覚悟を決めて丹田に力を込めた瞬間、銃口から発射されたエネルギーが私の身体を押し包んだ。
まさしく銃で撃たれたかのような衝撃を受け、思わず一歩よろめく。しかしここで倒れてはいけないと思い直し、踏ん張った。
凄まじいエネルギーが注ぎ込まれていくのが分かる。これが
競り負けるな、すべて己の中に取り入れるんだ。時空最強イレブンになるために──！
「ミキシマックス──コンプリート！！」
ワンダバの歓声が、ミキシマックス成功を物語った。
拳を握り、開く。胸の底から力が沸き起こってくる感覚があった。
傍にある水たまりに、私の姿が映っている。扇のように靡く赤髪、知性と勇気を兼ね備えた翡翠の瞳。日之芽さんのオーラが今、私の体の中にある。
ベンチに目をやる。日之芽さんは決然とした表情で頷きかけてくれた。
──ありがとうございます、日之芽さん。貴方の力を、守るべきもののために使わせてもらいます。
「あと二点……行くよ、みんな！」
「「おうっ！！」」
私の気合に、みんなが拳を突き上げる。
黒雲は風にあおられ、東の空へ去っていく。太陽の光が草原を黄金色に浮かび上がらせた。
パーフェクト・カスケイドのキックオフで試合再開。
私を潰すべく、相手選手が真っ先に迫ってきた。しかしそこに太陽と錦が走り込む。
「Aさんと神童さんに警戒しすぎだよ！」
「わしらもおるっちゅうことを忘れてもらっちゃ困るぜよ！」
二人でボールを奪うことに成功する。
正確なパスを受け取り、駆ける。三人がかりで防ぎに来た。
──さっきまで見えなかったものが見える。それは得点への、勝利への道筋。私が……切り拓く！
「「『ディフェンスコマンド14』──」」
技が展開される中に立ち止まる。
両手を打ち鳴らせば、私の周囲には黄金に煌めくいくつもの銅鏡が現れた。
それは強固な盾となり、向かってくる敵を打ち返す。
「『
敵はそれぞれの方向に吹き飛んだ。
振り返ることなく、そのままドリブルで切り込む。キーパーが腰を落とすのが見えた。デュアルプレスティシモを警戒しているのだ。
だがシュートを決めるのは……私ではない。
「天馬、フェイ！」
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作者名：キメラ | 作成日時：2023年11月5日 21時
