772 謝罪の言葉 ページ15
最後に鬼道さんのチーム。
キャプテン 剣城京介FW
フェイ･ルーンMF 菜花黄名子DF 錦龍馬MF
三国太一GK 青山俊介MF 一乃七助MF 車田剛一DF
ダーナMF ウォードDF ガウラDF
剣城も、自分がキャプテンに選ばれたことに動揺していた。
キャプテンはチームの軸となる存在……自分にその役割が担えるのかという不安が、顔に現れていた。
「試合は三日後、それまでこの三チームに分かれて調整する！」
「「はいっ！！」」
そう返事をしたのはいいものの。
その「調整」が上手くいくのか……少しの疑念が私の中にはあった。
＊
「少しいいかね」
別のフィールドに向かおうとした私を、サカマキ監督が呼び止めた。
早速、何か用だろうか。隣にいたクロエに「先に行ってて」と声をかけると、
「いや、君の化身にも話したいことがある」
と言われた。サカマキ監督は私たち二人に用があるようだった。
サングラスの奥の目は鋭い。こうして対面してみると威圧感のある人だった。
「……まず、今までに幾度か手荒な真似をしたことを詫びさせてもらう。我々は自律する化身というものが、フェーダへの有効な策として活用できないかを模索していたのだ」
監督の言葉に、二、三度瞬きする。
手荒な真似と聞いた時点では心当たりがありすぎてどれかわからなかったけど、クロエが絡んだとなるとその出来事はいくらか絞られた。
「あれか……ベータとかザナークが、私のことを捕獲対象とかなんとか言ってたの」
本人も忘れてはいなかったらしい。宙に目を向けて、そう遠くない過去の記憶を掘り起こしていた。
「そうだ。君のような、意思疎通のできる化身が出現した例は初めてだった。さらに肉体も精神も、時を経るごとに成熟していく……いや、経験を積むごとにと言った方が適切か。とにかくその性質を明らかにするために、我々は君たちを観測しながら、エルドラドへ引き入れる機会を伺っていた」
人の肉体と頭脳を得て、独り立ちする化身。その存在はエルドラドにとって格好の研究対象だったというわけだ。謝罪してくれたからもうとやかくは言わないけど、やっぱりいい気分はしない。
「え、観測って、女の子の私生活覗き見してたの？」
クロエがサカマキ監督から一歩距離を取る。いや、もっと別に聞くべきところがあるだろう。
「……プライバシーを侵害するようなことはしていないゆえ、安心したまえ」
「あ、そうなの。まあ冗談はさておき」
冗談だったのか。
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作者名：キメラ | 作成日時：2023年11月5日 21時
