770 かつての敵と ページ13
サッカーを守る。
そうだ……私たちは今までずっと、そのために戦ってきた。
あまり深く考えすぎなくていい。やることは変わらないのだ。サッカーを守り、未来へ悲劇を生ませない。
「天馬の言う通りだな──みんな、この試合受けて立とう！」
神童の言葉に全員が頷く。みんなの顔には固い決意が現れていた。もちろん私にも。
サッカーを戦争の道具になどさせはしない。未来を、人類を守り、そして円堂監督を取り戻してみせる。
……だけど。
彼らは自らの存在証明のために戦っている。それなのに私たちが勝利してしまったら──勝利しなければいけないのだけど──彼らは本当に、救いがなくなってしまうのではないか。
だけどこんなことを口に出せる雰囲気ではないので、黙っておいた。
話がまとまったところで、三国さんが肝心な部分を問う。
「で、どんな試合なんだ？ そのラグナロクというのは」
「各勢力から三チームの代表を出し、三試合を行う。そして、勝利数の多い方が勝ちだ」
「それだけ？」
「実にシンプルな戦いだ。しかしこの戦いには、世界の運命がかかっている」
世界の運命──中学生が背負うには少し重すぎる言葉だけれど、これは私たちにしかできないことだ。
「君たちの仲間を紹介する。既に顔見知りだったかな？」
トウドウが手を示した場所に、四人の人間が現れる。その姿を見た私たちは目を見開いた。
それは私たちが何度も戦った相手だった。プロトコルオメガのアルファ、ベータ、ガンマ、そしてレイ・ルク。
私たちとエルドラドのプレイヤーで混成チームを作るつもりらしい。各勢力から三チームの代表というのは、こういうことか。
ふとベータの視線がこちらを向く。ベータは私を睨みつけるようにしていたが、すぐにふいと視線を逸らした。
信長の時代、うつけ祭りでの試合で真っ向から勝負したことを思い出す。あの時以来だ……こんな形で再会するとは思っていなかったけれど。
「おまんらの力なんて必要ないぜよ！ こっちは時空最強の一歩手前まで来てる──いや、さっきAも卑弥呼の力を手に入れたから、時空最強も同然ぜよ！ わしらだけで充分ぜよ！」
「いや、駄目だ！」
プロトコルオメガの面々を突っぱねようとした錦の前に、大介さんが浮かんできて迫る。
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作者名：キメラ | 作成日時：2023年11月5日 21時
