768 セカンドステージチルドレン ページ11
その頭脳と身体能力は、恐るべきレベルに達している。中にはテレパシーやら念動力など、普通の人間には持ちえない力を有する者もいる。
彼らはもともと、人目につかないようにひっそり暮らしていたが……一年前、「フェーダ」という組織の名の元に、エルドラドに宣戦布告を仕掛けた。
彼らは自らの内にある破壊のオーラを特殊なアンプルに込めて発射する武器を使い、襲い掛かってきた。
その威力は軍の戦術兵器にも匹敵した。エルドラド側も対抗措置を講じたものの、全く歯が立たなかったらしい。
「子供の皮を被った恐怖の軍隊」──そう言わしめるほど、彼らは悪魔的な猛威を振るったという。
このままでは世界を彼らに支配される、いや、人類が滅ぼされかねない。
だからエルドラドは決意した。その遺伝子を生む要因となったサッカーを消して、彼らが生まれるタイムルートを消去することを。
その実働隊として動いていた──私たちの前に立ちはだかってきたのが、アルファを始めとしたプロトコルオメガのエージェントたち……。
「これでわかったかな？ 世界を救うと言った意味が」
トウドウが話し終わっても、私たちはしばらく誰も何も口を開かなかった。
サッカーと、地球上の全人類。エルドラドはその二つを天秤にかけ、結果として秤は後者の方に傾いたのだ。理論としてはわかる。わかるのだが……。
「しかし、なぜ宣戦布告など……目的はなんなんだ？」
いち早く話の内容を咀嚼できたらしい神童が、疑問を呈する。
「彼らは、世界を支配しようとしている……自分たちの世界を作るためにな。彼らの存在を恐れ、受け入れなかった者たちへの復讐だよ」
──自分の世界を作る。あまりにも横暴だ。
それではまるで小さな子供と同じではないか。認めてもらえなかったからといって癇癪を起こすような、そんな……この例えは適切ではないかもしれないが。
「だが数日前、彼らは我々に『ラグナロク』を提案してきたのだ」
トウドウの表情が曇る。
曰くラグナロクとは、世界最高意思決定機関の実権をかけたサッカーの試合。
彼らはサッカーの試合を戦争に見立てているという。
「もしその試合に負けるようなことがあれば、世界は支配されてしまう！」
背中を怖気が這い登った。
サッカーで人類の存亡が決まるなど……そんなの、作り話だとしても受け入れられない。
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作者名：キメラ | 作成日時：2023年11月5日 21時
