Word.0057 秘匿 ページ7
「今、お偉さん方がそれを決めているだろうよ。本人の精神状態が落ち着くまではここで入院だ」
重い沈黙が場に流れた。
異能を持った少女。その身に背負う業は、あまりにも大きい。
ロックとニコが、それぞれの思いを吐露する。
「その力ってやつのせいで、コトハはひどい目に遭ってたってことか……？」
「そんなのかわいそうだよ……コトハちゃんは何も悪いことなんてしてないのに！」
その言葉を聞いたウノの頭の中には、一つのフレーズが浮かんだ。
──『存在するだけで罪』。
世界を揺るがしかねない強大な力を持つ少女を、刑務所上層部はきっと消したがっている。しかし罪のない人間を殺すことはできないということで、渋々囚人として日々を過ごさせていたのだ。
コトハはこの一件で、きっと大きな傷を負っただろう。コトハがもう自分たちと一緒にいたくないというのなら、それを受け入れるしかない。
ただ……ウノとて、このまま別れたいなどとは思っていなかった。
「けどどちらにせよ、本人が落ち着いたらちゃんと話をするべきだ。これからどうするのか、どうしたいのか……」
ロックとニコが頷いた。
今ここにいないジューゴもきっと、話を聞けば同じような思いを抱くはずだ。ジューゴにはまず己の回復に努めてもらわなければならないが。
事態をすべて呑み込めたわけではない。知りたいこと、突っ込みたい部分は山ほどある。
しかし自分たちにできることはない。もとの十三房の風景を取り戻したいなら……今は黙して待つ時だ。
犬士郎は、沈んだ表情の囚人たちを横目に、思案を巡らせていた。
双六はどうしてこのことを自分たちに報告しなかった──という文句は、今は呑み込んでおくことにする。情報とは思わぬところから漏洩するゆえ、少女の能力、来歴を秘匿していたのは正解だったと言えよう。
しかし、キジと猿門には明かす必要があるだろう。彼らも翌日と翌々日、それぞれ一日のみ十三舎の看守代理を任されることになっている。
──この事実を知って、あいつらはどんな反応をするだろうか。
現在地下牢に収容されている、15番のこともある。
囚人の処遇を決めるのは恐らく、看守長と双六。自分たちは言ってしまえば部外者であるから、口出しはできない。
15番と5108番……この二人の存在は、良くも悪くも後に大きな出来事の引き金となるのではないか。犬士郎はそう考えていた。
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キメラ(プロフ) - きえさん» コメントありがとうございます！ その言葉が何よりの励みになります😭しばらくはゆっくりの更新になってしまうのですが、見守っていただければ嬉しいです！ (3月28日 23時) (
レス) id: 6fadaab96b (このIDを非表示/違反報告)
きえ(プロフ) - 話の設定が最高で続きが待ち遠しいです！！主人公がこれからどうなってくるのか考えるだけでワクワクしてます！！これからも頑張ってください！ (3月28日 20時) (レス) @page37 id: 3e2dfb3761 (このIDを非表示/違反報告)
キメラ(プロフ) - よいよいの宵さんさん» コメントありがとうございます！展開楽しんでいただけるようでとても嬉しいです😭どうぞお付き合いいただけたらと思います🫶 (12月2日 21時) (レス) id: ac6bc7be2b (このIDを非表示/違反報告)
よいよいの宵さん(プロフ) - 久々にナンバカが見たくなり探したところ主様の作品を見つけました。とても面白く、夢主ちゃんの秘密が徐々に明かされていくのがとてもドキドキします。これからも頑張ってください！ (12月2日 20時) (レス) id: ab89395776 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：キメラ | 作成日時：2023年11月14日 21時
