Word.0056 封印 ページ6
「使い方を誤れば世界を崩壊させる能力──当初はアイツを死刑にすべきだという声もあったらしい。だがそれは結局できなかった。囚人を正当な理由なしに殺すことは許されないからな」
科学的に立証できない事案を検挙することはできない、ということであった。
こうして囚人となった少女だったが、本人には強い自死願望があった。二言目には自分を殺してくれと大声で喚く。
「私は電気椅子にはりつけになって死ぬ」「銃殺されて死ぬ」と、毎日休まず叫び続けた少女。だがこれらの願いは聞き届けられることはなかった。
そして……女を異様なほどに怖がる。看守や囚人を見ては錯乱状態になったのだ。これは女子刑務所という場所では致命的なことだった。
昔の出来事が何らかのトラウマとなって、恐怖の引き金になっているのだろう。翁はそう分析していた。
そんな生活が一年ほど続き、少女は見るに堪えないほどやつれていった。
このままでは命の危険があると判断した刑務所側は、会議に会議を重ね、一つの決断を下した。
──少女の記憶を催眠療法で封印し、南波刑務所へ移送する。
これは異例の措置であり──そもそも少女の能力自体が前代未聞であった──上層部を中心に、極秘裏で計画がすすめられた。
そしてやってきたその時。少女は催眠にかけられ、自分の記憶のほとんどを闇の中に葬ることとなった。
『自分は窃盗によって捕まり、現在服役している』という偽の情報を植え付けられ、身柄が南波刑務所へ移送された。そうして少女はその紛い物の記憶の定着のために数か月医務室にて入院し、十三舎へ収容されることが決定した──。
「……そんな」
ウノの呟きに、誰も何も返さなかった。
翁は額に手を当て、考え込むような仕草をしたまま動かなくなった。
少女の欠けていた記憶の全貌を知らされ、十三舎の三人は混乱した。
ただ、コトハ本人にとっては。忌まわしい記憶を一気に思い出してしまったのだ……あれほどまでに錯乱するのは当然のことだった。
「大会でショッキングな出来事を目の当たりにしたせいで、記憶を閉じ込めていた蓋が外れちまったんだろう。その催眠療法ってのも実験段階のものだったから、いつかこうなることはわかっていたんだが……」
「5108番の処遇はどのように」
犬士郎が短く尋ねる。不透明な部分は多々あったが、確認するべきはまずそこだった。
このまま同じように十三舎の囚人として過ごさせるか、隔離するか、もしくは──。
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キメラ(プロフ) - きえさん» コメントありがとうございます！ その言葉が何よりの励みになります😭しばらくはゆっくりの更新になってしまうのですが、見守っていただければ嬉しいです！ (3月28日 23時) (
レス) id: 6fadaab96b (このIDを非表示/違反報告)
きえ(プロフ) - 話の設定が最高で続きが待ち遠しいです！！主人公がこれからどうなってくるのか考えるだけでワクワクしてます！！これからも頑張ってください！ (3月28日 20時) (レス) @page37 id: 3e2dfb3761 (このIDを非表示/違反報告)
キメラ(プロフ) - よいよいの宵さんさん» コメントありがとうございます！展開楽しんでいただけるようでとても嬉しいです😭どうぞお付き合いいただけたらと思います🫶 (12月2日 21時) (レス) id: ac6bc7be2b (このIDを非表示/違反報告)
よいよいの宵さん(プロフ) - 久々にナンバカが見たくなり探したところ主様の作品を見つけました。とても面白く、夢主ちゃんの秘密が徐々に明かされていくのがとてもドキドキします。これからも頑張ってください！ (12月2日 20時) (レス) id: ab89395776 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：キメラ | 作成日時：2023年11月14日 21時
