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詩篇20 ひとこえ ページ45

しかし同じように、母も深く傷ついていた。

娘が特異な力を持って生まれてきたことに。娘がその手で人を殺めてしまったことに。


言葉を返せない。その沈黙が肯定となった。

母の顔が、くしゃりと歪む。


「どうして」


そうして同じ言葉を繰り返し呟きながら、声を上げて泣いた。

その手が私を抱きしめてくれることはもうなかった。

私は母がその場にくずおれるのを、ぼうっと見つめていた。


美穂ちゃんの考えは、行いは、褒められたものではない。だからといってそれらは死に値するほどの罪だったのか。

法的に私が罰せられることはない。実際に手を下したのはあの男性だからだ。

だけど私は一生、「人を殺した」という咎の意識を背負い続ける。


私はこの時から、自分の感情を切り離すようにして過ごした。

そうしないと目の前に横たわる現実に、この先に待つ未来に、耐えられなくなると思った。





事件から約十日後、段階的に授業が再開された。

登下校は必ず集団で行われ、通学路を地域の人やお巡りさんが警戒してくれていた。


私たちのクラスは、沈痛な空気で満ちていた。

この前まで一緒に学び、遊んでいた友達が、今はもういない。児童たちにとってはそれが大きな心の傷となった。

美穂ちゃんと仲良くしていた子たちは、みんな涙を零している。

自分の席についた私は何をするでもなく、窓の外を見つめていた。


「──あのときAちゃんが美穂ちゃんに、死ねって言ったの」


すると教室内のどこからかそんな声が聞こえてきた。

ゆっくりと首を巡らせる。いつの間にかクラスメイト全員の視線がこちらに向けられていた。

──能力を言及された。そのことに気づき、背筋から首にかけてゆっくりと鳥肌が立っていく。

同じ声が続けて、言葉を紡いだ。


「Aちゃん、自分の言ったことが本当になるって前に言ってた。だから美穂ちゃんが殺されちゃったのって……」


教室がざわめいた。

最初は、突拍子もないことを口走ったその子を心配する雰囲気。しかしそれは徐々に、私に対する猜疑へ変わっていった。


「そう言えば二年生の時も──」

「あいつの言ったようになってたような」

「マジだとしたら相当やべーぞ」


私が今まで学校で、うっかり発現させてしまった能力。それは当然、クラスメイトたちの目にも触れていて……彼らのうちの何人かはその不自然な光景を記憶していたのだ。

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キメラ(プロフ) - きえさん» コメントありがとうございます! その言葉が何よりの励みになります😭しばらくはゆっくりの更新になってしまうのですが、見守っていただければ嬉しいです! (3月28日 23時) (レス) id: 6fadaab96b (このIDを非表示/違反報告)
きえ(プロフ) - 話の設定が最高で続きが待ち遠しいです!!主人公がこれからどうなってくるのか考えるだけでワクワクしてます!!これからも頑張ってください! (3月28日 20時) (レス) @page37 id: 3e2dfb3761 (このIDを非表示/違反報告)
キメラ(プロフ) - よいよいの宵さんさん» コメントありがとうございます!展開楽しんでいただけるようでとても嬉しいです😭どうぞお付き合いいただけたらと思います🫶 (12月2日 21時) (レス) id: ac6bc7be2b (このIDを非表示/違反報告)
よいよいの宵さん(プロフ) - 久々にナンバカが見たくなり探したところ主様の作品を見つけました。とても面白く、夢主ちゃんの秘密が徐々に明かされていくのがとてもドキドキします。これからも頑張ってください! (12月2日 20時) (レス) id: ab89395776 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:キメラ | 作成日時:2023年11月14日 21時

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