Word.0072 取調 ページ22
それから私は取調室のような場所に連れて行かれた。大和と星太郎も一緒だ。
やや緊張しながらパイプ椅子にかける。三対一の構図に委縮しかけたが、ここで怯んでいては何も始まらないと思い直した。
「だらだらと前置きはしねえ。てめえもわかってんだろうからな。お前のしち面倒くせえ記憶と能力のことだ」
私の対面にどかっと腰を下ろしたハジメは、ファイルを手に持ちながら早速口を開いた。
「面倒くさい」とハジメが言い切ったことに、星太郎はどこかヒヤヒヤしている様子だった。大和は珍しく真顔で、何かを考え込んでいるように見える。
「大和と星太郎は、お前が能力を使う瞬間を間近で見ちまったからここにいる。舎内でお前のことを知っているのは、現時点で俺たちだけだ」
大和と星太郎への説明も兼ねているからだろう、ファイルから資料を取り出し、淡々と話し始めた。
二年前、私有地への不法侵入により保護された私の身柄は精神病棟へ送られるも、数日のうちに脱走。
間もなくギャングに誘拐され、半年間駒として扱われ続ける。
警察側が私の能力を認知したのはこの時。逮捕の後に南波女子刑務所へ収容される。
しかし神経衰弱が甚だしく、約一年の後、記憶を催眠療法で封印。そうしてここ──南波刑務所へ移送され、私はジューゴたちに出会った。
私は束の間目を閉じ、過去に思いを馳せる。灰色に塗りつぶされた過去に。
私の来歴を初めて知ったと見られる大和と星太郎は、驚愕をあらわにした。
対してハジメは、一貫して冷静な表情で続ける。
「言っておくが俺はお前の能力とかいうものを信じちゃいねえ。口に出したことが現実になるなんざ、科学的根拠のない馬鹿げた話だ。俺たちはあくまで上の命令でお前をここに収容しているだけだ」
その上層部の考えに納得していないのだろうというのが、厳しい目線からわかった。
「だがいくら馬鹿げているとはいえ、無視して問題を放置するわけにもいかねえ……大和」
「はっ」
名前を呼ばれた大和は直立のまま姿勢を正し、口を開く。
「新年大会最終種目──5108番くんは、暴走する15番くんを止めるために走り出そうとしたので、私は彼女の腕を掴んで止めました。5108番くんは私に向かって『離してくれ』と言い……その途端、ふっと腕から力が抜けました。
私の掴む力が弱かったからだ、と言われればそれまでですが……自分の意志に反して身体が勝手に動かされたような、そんな奇妙な感覚でした」
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キメラ(プロフ) - きえさん» コメントありがとうございます！ その言葉が何よりの励みになります😭しばらくはゆっくりの更新になってしまうのですが、見守っていただければ嬉しいです！ (3月28日 23時) (
レス) id: 6fadaab96b (このIDを非表示/違反報告)
きえ(プロフ) - 話の設定が最高で続きが待ち遠しいです！！主人公がこれからどうなってくるのか考えるだけでワクワクしてます！！これからも頑張ってください！ (3月28日 20時) (レス) @page37 id: 3e2dfb3761 (このIDを非表示/違反報告)
キメラ(プロフ) - よいよいの宵さんさん» コメントありがとうございます！展開楽しんでいただけるようでとても嬉しいです😭どうぞお付き合いいただけたらと思います🫶 (12月2日 21時) (レス) id: ac6bc7be2b (このIDを非表示/違反報告)
よいよいの宵さん(プロフ) - 久々にナンバカが見たくなり探したところ主様の作品を見つけました。とても面白く、夢主ちゃんの秘密が徐々に明かされていくのがとてもドキドキします。これからも頑張ってください！ (12月2日 20時) (レス) id: ab89395776 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：キメラ | 作成日時：2023年11月14日 21時
