Word.0069 日常 ページ19
地に頭をつけるジューゴは、いつもよりずっと小さく見えた。
自分の過ちを認め、頭を垂れ、許しを請うている。触れればそこから崩れていってしまいそうだった。そのくらい儚い姿だった。
「ねえウノ君……」
「ああ……まさか」
「アレだよな──」
三人は顔を見合わせて、深刻な表情で囁き合っている。
私は沈黙にいたたまれなくなって、「顔を上げて」と呼びかけようとした……が。
「「ジャパニーズ土下座！！」」
私とジューゴは頭からずっこけた。
見よう見まねで土下座を始める海外組の姿は無邪気そのもので、今までの沈鬱な空気がぶち壊しだった。
ジューゴは頭を上げ、腹立たしげな顔をあらわにする。
「こ、こいつら……人がせっかく──」
「ジューゴ」
と。ウノが白い歯を見せてジューゴに笑いかける。
「気にすんな、それがお前だろ？」
その言葉は魔法の如く、私の、そしてジューゴの心の奥の深いところに優しく着地した。
たった一言。それが私の背を押してくれた。
「私も……み、みんなに、言えてないこと、隠してた、こと、たっ、たくさん、ある。でも、ここって、やり、やり直すための場所だから、だからきっと、今からだって遅くない」
ジューゴの前にしゃがみ、その手を取る。本当に自然にそうすることができた。
「一緒に頑張ろう、ジューゴ」
二人なら、みんなとなら。きっと怖くない。
淀みなく気持ちを伝えることができた──そう思った刹那、ジューゴの両眼から大粒の涙がぼろぼろと溢れだした。七色の涙はあとからあとから零れ、畳に染みを作っていく。
気付けば私も泣いていた。ジューゴに手を握り返されると、もっと涙が出てきた。
嗚咽を隠さず、みっともないけど鼻水まで出して、他人が見たら完全に笑いものな私たちだったけれど。
それはまるで、産声のように感じられた。
「うわっ、ジューゴ汚ねえ！」
「う、うっせえ！」
「ジューゴ君って意外と涙もろいよね〜」
「ほらコトハ、ハンカチ。ジューゴはこれで顔拭いとけ」
「これ雑巾じゃねえか！ ふざけろ！」
こうして十三房にはいつもの笑い声が戻ってきた。
過去を受け入れ、ケジメをつけることができたら。
そしてこれから先に訪れる未来を、少しでも愛しく思うことができたら。
失敗してもやり直せばいい。困難が立ち塞がっても、みんなで笑い飛ばせばいい。
なんたって私たちは、ナンバーのついたバカだから。
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キメラ(プロフ) - きえさん» コメントありがとうございます！ その言葉が何よりの励みになります😭しばらくはゆっくりの更新になってしまうのですが、見守っていただければ嬉しいです！ (3月28日 23時) (
レス) id: 6fadaab96b (このIDを非表示/違反報告)
きえ(プロフ) - 話の設定が最高で続きが待ち遠しいです！！主人公がこれからどうなってくるのか考えるだけでワクワクしてます！！これからも頑張ってください！ (3月28日 20時) (レス) @page37 id: 3e2dfb3761 (このIDを非表示/違反報告)
キメラ(プロフ) - よいよいの宵さんさん» コメントありがとうございます！展開楽しんでいただけるようでとても嬉しいです😭どうぞお付き合いいただけたらと思います🫶 (12月2日 21時) (レス) id: ac6bc7be2b (このIDを非表示/違反報告)
よいよいの宵さん(プロフ) - 久々にナンバカが見たくなり探したところ主様の作品を見つけました。とても面白く、夢主ちゃんの秘密が徐々に明かされていくのがとてもドキドキします。これからも頑張ってください！ (12月2日 20時) (レス) id: ab89395776 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：キメラ | 作成日時：2023年11月14日 21時
