Word.0061 対話 ページ11
私はみんなから顔を背け、目をかたく瞑った。間違っても能力を発現させないためだ。
「は、話って、どういう」
ずっとスケッチブックでコミュニケーションを取っていたからだろう、自分の声でものを伝えるという行為に、後ろめたさに似たものを感じる。
猿門は話に加わらず、少し離れたところから私たちのことを見ているみたいだった。
「ざっくり言えばコトハがこれからどうするか……どうしたいか、って話だな」
ウノの言葉に、私の肩がピクリと動く。
私の、これから。そんなこと、ここ数日でちっとも考えていなかった。そんなことを考えるのは許されないと思っているから。
頼むから死なせてくれと、そればかりを願ってきた。
「コトハちゃんのこと聞いて、全くびっくりしなかったって言ったらウソになるけど……でも、その力もひっくるめてコトハちゃんなのかなって僕思うよ」
「だな。コトハが別人になっちまったってわけでもねえし、俺たちにとっちゃ何も変わらねえよ」
ニコとロックの台詞の中に、嘘の響きは含まれていなかった。
何も変わらない。果たして本当にそうだろうか。だって私はどうしようもない化け物だ。言霊という脅威を内包した、核兵器並みの危険な存在。
「みんなを、傷つけたくない。だから、わ、私は一人でいるべき」
恐怖で左手が小刻みに震えている。
死ぬことが許されないのならせめて、誰とも関わらずに息をしていたい。そうしたら少なくとも、他人を傷つけずに済むだろうから。
「コトハ、こっち見ろ」
ウノの口調は優しかった。
私はそれを無視したが、やがて沈黙に耐えかねてゆっくりと首を向けた。そうして恐る恐る目を開ける。
──視界に移ったのは、三人のどこか得意げな表情だった。
「あのな、言っとくけどよ。俺ら、そう簡単に傷つくほどヤワじゃないぜ？」
自分の顔を親指で指し示すウノは、いつもの勝気な笑みを浮かべている。
「俺らは無敵の脱獄囚だ。今まで世界中のムショを転々としてきた……ちょっとやそっとのことじゃ驚かねえよ」
「そうそう！ ユーレイさんとお話したこともあるんだよ！ だからコトハちゃんは、僕たちが傷つくかもとかビックリするかもとか心配しなくていいんだよ！」
「ああ、懐かしいなその話。あいつまだ元気してっかなあ」
私はポカンとなった。ウノたちがあまりにも、いつも通りの会話を繰り広げていたから。
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キメラ(プロフ) - きえさん» コメントありがとうございます！ その言葉が何よりの励みになります😭しばらくはゆっくりの更新になってしまうのですが、見守っていただければ嬉しいです！ (3月28日 23時) (
レス) id: 6fadaab96b (このIDを非表示/違反報告)
きえ(プロフ) - 話の設定が最高で続きが待ち遠しいです！！主人公がこれからどうなってくるのか考えるだけでワクワクしてます！！これからも頑張ってください！ (3月28日 20時) (レス) @page37 id: 3e2dfb3761 (このIDを非表示/違反報告)
キメラ(プロフ) - よいよいの宵さんさん» コメントありがとうございます！展開楽しんでいただけるようでとても嬉しいです😭どうぞお付き合いいただけたらと思います🫶 (12月2日 21時) (レス) id: ac6bc7be2b (このIDを非表示/違反報告)
よいよいの宵さん(プロフ) - 久々にナンバカが見たくなり探したところ主様の作品を見つけました。とても面白く、夢主ちゃんの秘密が徐々に明かされていくのがとてもドキドキします。これからも頑張ってください！ (12月2日 20時) (レス) id: ab89395776 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：キメラ | 作成日時：2023年11月14日 21時
