659 空を制して ページ2
「すげぇー！ ウホウホくっぞ！」
六人のアームドを見て、トーブが興奮したようにその場で足踏みをする。
するとそれに呼応するように、ベンチからトーブのお父さんが飛び立った。フィールドの上空を、円を描くように旋回し始める。
「あっ、父ちゃん！ 父ちゃんも戦い見てウホウホ来てんのかぁ！？」
その様子を見て再びミキシマックスガンを構えるワンダバ。トーブに向かって指示を飛ばした。
「いいだろう！ ならば一か八かのミキシマックスだ！ トーブ、飛べ！！」
「は？」
「いいから父ちゃんの近くまで飛ぶんだ！」
その意図を図りかねたトーブだったが、急かされるままに高く跳躍する。
そこにワンダバが引き金を引いた。二人の身体が金色の光に包まれる。
「ミキシマックス──コンプリート！！」
そうして、ミキシマックスはあっさりと成功してしまった。何年も一緒に生活していたということもあり、相性は抜群だったのだ。
「なんか力が湧いてくっぞー！」
そうして新たな力を手に入れたトーブが降り立つと同時に、後半戦開始のホイッスルが鳴った。
ボールは剣城かた錦へ。しかしトーブへのパスがカットされる。
トーブは敵よりも高く跳び、ボールを取り返した。翼竜の翼の力を手に入れたトーブが動く様は、大空を飛翔しているかのようだった。
パスが神童に繋がり、そして私へ。サイドから上がってきていたフェイにダイレクトでボールを渡す。
フェイは天馬とアイコンタクトを交わした。そうして息を合わせ、跳躍する。
「「『エクストリームラビット』！！」」
それは試合前に偶然見せた動き。二人はこの短時間で合体技を見事ものにしてみせた。
「『キーパーコマンド16』──」
飛び跳ねる軌跡はキーパーの技を破り、ゴールネットを揺らす。
2-9。縮まった点差に、雷門が湧いた。
私は拳をぐっと握りしめる。まさかこうもあっさり必殺技を完成させてしまえるなんて。
後輩に先を越されたという悔しさもないではない。けどそれよりも、自分ももっと成長したいという高揚が、胸の内を強く支配していた。
「レイ・ルク。そろそろいいだろう。プラクティスモードから、ノーマルダイブモードへ移行する」
「「「ラジャー」」」
と──敵が不穏な動きを見せた。
パーフェクト・カスケイド側からのキックオフで試合再開。相手間でパスが渡った次の瞬間──私は自分の目を疑った。
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作者名：キメラ | 作成日時：2023年9月2日 11時
