唯一の2年A組は壊理の姉 (ページ9)

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ー環sideー

相「天喰」

Aの教室へ向かっていると、
相澤先生に止められた。

環「…どうか、されましたか…？」

相「お前、鳴瀬見なかったか」

環「……見てないです」

相「見かけたら職員室の俺の所まで来るよう伝えてくれ。知り合いだろ、お前ら」

環「……はい」

なんでAを探しているんだ？
……もしかして……

急いでAの教室へ向かった。
扉を開けると一番後ろの窓際にAは座っていた。

こちらを見るAの顔は不安で一杯だった。

環「……良かった、A…いた。」

『環くん、私……』

何か言おうと口を開いていたが、
言葉が詰まったかのように出ていなかった。

大きな紅い瞳からポロポロと涙が溢れだした。

環「え、あ、な、なんで泣いてるんだ…？」

『ど、どうしよう…わ、私、私……！』

俺は慌ててAに駆け寄ったがどうしたらいいのかわからず、落ち着くまで優しく背中を摩るくらいしか出来なかった。

それから相澤先生が探していた事を伝えると
顔を真っ青にして行くのを嫌がった。

“俺が傍に居るから”

だ、大胆な事を言ってしまった……。
引かれているかもしれない。

Aは一瞬キョトンとした顔になって、

『ううん、十分だよ。ありがとう環くん！』

そう言って優しく笑った。

環「(…あぁ、やっぱり君の笑顔は月のようだ)」

凛としていて、どこか儚げで綺麗な笑顔。
俺はそれを、ずっと見ていたい。