6話 わた、雲のよう 【夢主side】 ページ9
はっ、と目が覚めた。
どくどくどく。心臓が、必死に血液を受け入れては送り出す動作を繰り返す音が聞こえる。
その音に意識を注ぐ。どうしてこんなに心臓が暴れているのか、気にならないわけじゃない。
でも、それを考えてはいけないと、無意識のうちに判断していた。否、怖かったのかもしれない。無意識のうちに、避けた。
次第に小さくなっていくその音にずっと集中していれば、意識も遠のいてくれるような気がして。
しかし、意識は置き去りにされ、心臓から天井へと意識の先は移動する。ふよふよと目線を漂わせると、まるで柔らかい綿に包まれながら、身体が飛んでいるような気分になった。
柔らかい。 そう、柔らかい。
柔らかい、といえば。
私は無意識に唇に指をあてた。ここに、柔らかい感覚が残ってる。なんだろう。
それは綿に包まれるような、あったかい感覚をも呼び起こす。
あたたかい、柔らかい、心地よい。
嫌いな人はいない、大好きなこの感覚。
心臓がばくばくするから何だ?いいじゃない、そんなこと。
じゃあどうしてこんな感覚になるの?いいじゃない、そんなこと。
考えるのが億劫だ。ずっとこのまま、この感覚に包まれていたい。
そんな願いは浮かぶ疑問にベールをかけ、空漠とさせてしまう。ぼかされて、まるで空に浮く雲みたいだ。私も、綿に包まれて、雲みたいに浮かぶ。
ふよふよと揺れるような感覚の中、私はもう一度目を閉じた。
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作者名:猫柚 | 作成日時:2015年12月27日 23時