8.プライドは時として厄介な ページ24
「……誰ですか？」
「………」
ローズクォーツの瞳が私を捉え、揺らぐこと無く真っ直ぐと見つめてくる。
その容姿は大変可愛らしいので同じ女性なのかと思ったが、何となく雰囲気的に違うことが分かる。
「誰ですか、出て行ってください！」
「お前、生きてたのかよ」
「生きてたって、私はずっと生きてますけど。それよりあなたは誰ですか……？」
「俺の事忘れたの？」
「えっと、」
先程からまともな会話にならないのは気のせいか、はたまた相手が私をからかってそうしているのか。どちらにせよ、私の質問には答えてくれなさそうな雰囲気を見るにどうすれば良いのか分からない。
それに、こんな真っピンクな髪の毛なんて見たら強く印象に残るだろう。私の知り合いでこんな髪の毛がピンクな人は誰一人として居なかった。
シックな洋装に身を包んだ彼は私が瞬きをした瞬間に鼻先が触れるほど顔を近付けた。突然の事に「うぁえ！？」と情けのない声を上げて尻もちを着いて後退るが、彼はそんなのお構い無しに更に顔を近付けて首元で「スン、スン」と臭いを嗅ぐ。
「え、あ、あぁあの」
「匂いはそのまんまなんだけどな」
「に、匂いって」
「でも人間の匂いもするんだよな。お前、名前は？」
相も変わらずスン、スンと鼻息を立てる彼が首元から胸元の方まで顔を持っていき、上目遣いでこちらを見やる。その姿は大変可愛らしいものであるが、それとは裏腹に腹の底に響くような低音が頭を錯乱させる。
少しくすぐったくて身を捩りながら、両手をズルズルと床に着いて後ろに下がる。
「私の名前……Aって言います。貴方は？」
「俺はなるせ。始祖の吸血鬼。よろしく。ここ四人よりかはまだ人間味あると思う。なんかあったら俺ん所来ればいいよ」
「シソの吸血鬼……？」
「シソじゃねぇよ始祖だわ！」
「始祖？始祖鳥？」
「は！？お前何！？わざと？わざとなの！？ねぇ！」
「ヒッ！……そんな大きい声出さないでくださいよ……！」
わざともなにも私の中では大真面目である。シソの吸血鬼と言われてもシソの栽培を専門とする吸血鬼でもいるのかと考えたし。
かと言って始祖の吸血鬼。よろしく。なんて言われた所で、はい分かりましたよろしく。となる訳もない。
ここは割とまともなうらたさん辺りにこの場を取り仕切って欲しい。そう思っていて都合よく扉が開いたのでホッとして扉を開けた主の顔を見る。
「なんでなるせがここに居んねん」
一番面倒で厄介なセンラさんであった。
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ちょこ - 終わってます！戻ってきてください！続き楽しみに待ってます！ (2021年6月8日 18時) (
レス) id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
鎖座波(プロフ) - 皇咲鈴音さん» びっくりしました誰かと思いました笑 みかんさんありがとうございます！本当嬉しいです大好きです（；；） (2020年10月28日 23時) (レス) id: 9beb0497a0 (このIDを非表示/違反報告)
皇咲鈴音(プロフ) - すごい名前になってますがTwitterのみかんです( めっちゃめっちゃ内容好きです！！ (2020年10月28日 22時) (レス) id: 72e21fad30 (このIDを非表示/違反報告)
あーちゃ(プロフ) - 物語の構成が好みすぎました！！更新おまちしております！！！ (2020年3月27日 16時) (レス) id: c45d7c6a24 (このIDを非表示/違反報告)
鎖座波(プロフ) - nanaseさん» そのように言って頂き嬉しいです…！コメントありがとうございます！更新頑張ります…！ (2020年3月8日 6時) (レス) id: 7dc015f2ad (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鎖座波
| 作者ホームページ：もう既に血が足りない
作成日時：2019年10月19日 15時
