八十七 ページ8
目には目を、歯には歯を。
………速さには速さを。
Aはぐっと踏み込む。
炎の呼吸を使う時よりも足に力を入れて、踏み込みは強く。
ボコリと、Aが踏み込んだ地は抉れていた。
「雷の呼吸
_______弐ノ型 稲魂 」
激しい雷鳴が鳴り響く。
五連続の猛撃で男鬼を怯ませることができた。
雷の呼吸の速さは、思惑通り鬼の鎌の斬撃よりも上回っていたのだ。対応しきれず腕が飛ぶ。
Aは弐ノ型を放った反動を利用しくるりと宙返った後、続けて参ノ型を放つ。波状の電撃の一閃が鬼を襲い、鬼は呻き蹌いた。
錆兎と義勇も呆気に取られていた。
紫苑は、二人の前ではなるべく水の呼吸を使用していた。
共に師範の元で育ってきた二人には他の呼吸を使用している姿を見られたくないというのが主な理由であった。
実際水の呼吸が一番得意ではあるが、水の呼吸最速の技、雫波紋突きよりも雷の呼吸の方が速い。
ぽかんとしている錆兎から首を受け取り義勇へ託す。
錆兎は毒の影響か、顔の半分が爛れてしまっていた。
きっと義勇の方がまだ動けるのだろう。
「義勇はそれ持って逃げて!!」
「わかった。」
花魁の鬼の生首を持って義勇は又もや走り出す。
一方錆兎は足取りが悪い。ぐらぐらとふらついていた。
「錆兎はもう休んだ方がいい。」
「いや…俺はまだ戦う。」
錆兎はなかなか頑固である。
Aがこのまま言い続けても聞かないと判断し、男鬼の対応に戻る事にした。
一緒に戦うと言ってる限りは、錆兎に回復の呼吸を使わせる時間を設けなければならない。
気休め程度にしかならないだろうけど。
どちらにせよ今のままでは辛いだろう。
よし、ぶっ飛ばそう。
義勇の方に行かせる訳にもいかないし、とりあえずここから義勇の向かった先とは対極へ飛ばしてやる。
「雷の呼吸 壱ノ型 霹靂一閃___」
稲妻のような神速で、鬼の両足を斬り離す。
「漆ノ型 雫波紋突き」
次いで突き技で弾き飛ばす。
先程は此方から戦闘音がした。
錆兎と義勇も此方から来ている。
ということは、此方に宇髄が居るはずである。
呼吸を切り替え、水の呼吸で追撃をする。
参ノ型 流流舞い、陸ノ型 ねじれ渦…………鬼の四肢を捥ぎとるが、頸まで刃が届かない。
Aの間合いよりも相手の間合いの方が広い。
鬼も恐らくそれをわかっている。
己の刃がギリギリ届かない事をわかっているのだ。
だからといって相手が素直に攻撃を受けている筈もない。
腕と足は既に再生している。
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kokona(プロフ) - クソデカ胸中ボイス大好きすぎますwww (2023年3月29日 0時) (レス) @page48 id: d3088186d6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あちゃん | 作成日時:2021年2月1日 16時