八十五 ページ6
酷く頭が痛い。
「ん……あれ………」
「あっ!!起きました!!!まきをさーん!!!」
「煩い!!そんな大声で呼ばなくても聞こえてるよ!!」
意識を失っていた。
あの花魁の鬼に吹き飛ばされてからの記憶がない。
自分が寝こけていた間に随分と戦況は変わってしまったのか、煌びやかな花街は酷く瓦礫まみれとなっている。
「こちら!天元様が目覚めたら渡してくれと!」
「あ……刀………」
刀を受け取り立ち上がると、まだ足元がもたついた。
貧血か。どうやらかなり長時間出血していたらしい。
頭もズキズキと痛んで、思わず顔を顰める。
「大丈夫ですかぁ!?」
「うん、大丈夫です……ええと、今、戦況はどうなってますか?」
恐らくこの二人は宇髄の細君なのだろう。
「天元様と水柱様、炭治郎くんが鬼と戦ってるんです!」
「ありがとうございます。………わかりました、すぐ向かいます。」
刀を腰に差し、着物を捲し上げる。
はしたないが、この着物は戦うにしては邪魔である為仕方がない。
急いで向かわないと。
ご武運をと願う二人のクノイチに会釈し、戦闘音が響く方へ走り出した。
「義勇!!!!」
一番最初に合流したのは義勇だった。
左右の小脇に炭治郎と何かを抱えている。
「炭治郎…!大丈夫なの!?」
「俺達が向かうまで一人で上弦の相手をしていたんだ。呼吸の使いすぎで気絶しているから安全なところに寝かせようとしていた。」
「待って義勇、その抱えてるのもしかして」
言葉の途中で義勇とAは左右へ跳躍した。
なんだ、何が起こった?
高速で何かが飛んできた。
殺気を伴っていなかったら避けられなかった。
すぐ様目線をそちらへ送る。
そこには、顔に血の染みの痣のような紋様がある痩せ細った男が立っていた。手には鎌を持っている。
飛んできたのはあの鎌だった。
「なんだあ?援軍かぁ?
お前も大層お綺麗な顔をしてるなああ。ちやほやされて生きてきたんだろ?妬ましいなぁああ。」
ボリボリと顔を掻きながら男鬼は言う。
その瞳には、陸の文字。
どういうことだ?上弦の鬼は二体いるのか?
あの花魁も、気配から上弦だと判断している。ということは上弦の鬼は二体潜んでいたことになる。
「しかもお前、その気配だと柱だなああ?その顔で実力もあれば大層特別扱いされてるんだろうなぁああ。」
更にボリボリと顔を掻き毟る。
特別扱い?何を言っているんだこの鬼は。
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kokona(プロフ) - クソデカ胸中ボイス大好きすぎますwww (2023年3月29日 0時) (レス) @page48 id: d3088186d6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あちゃん | 作成日時:2021年2月1日 16時