百八 ページ29
「鬼舞辻無惨は、自身の根城へ私達柱を誘い込みました。
そこで、控えていた上弦の鬼と柱がほぼ一騎打ちの状態となりました。」
「上弦の鬼は、その時点では全員生きていたということかい?」
「上弦の陸を除けば、後は生きていました。
蟲柱が上弦の弐に、風柱が参に、恋柱と蛇柱が肆と伍に殺されました。岩柱と私は壱と相対して、何とか斃しましたが、岩柱はその戦いで亡くなりました。
…その後鬼舞辻無惨は、上弦も下弦も全ての鬼を吸収したのです。その際に、禰豆子も吸収されました。禰豆子は、鬼に対して強い抗体を持っていたそうで、鬼舞辻無惨は見る間に弱っていきました。」
「なるほど。」
「ですが、残った隊士は水柱の私と根城へ取り込まれなかった甲以下の隊士のみ。鬼舞辻も弱っていましたが、私達の戦力も僅かなものとなっていました。結果、私は死んでしまい、再度繰り返されました。」
忘れもしない、鬼舞辻無惨戦。
前線で戦い、体を真っ二つに引き裂かれたのだ。
あれが今のところ自身最大の痛みである。
未だ昨日のように鮮明に思い出せる。Aは軽く身震いした。
「今回は、鬼舞辻の支配から逃れている珠世という鬼としのぶが、禰豆子と鬼の血液で抗体代わりの薬を作ってくれている。上弦も肆と伍、陸は撃破済みだ。柱は九人、更に杏寿郎も生きているし、甲以下の隊士も皆強い。」
「はい、そうですね。」
「それでも鬼舞辻はしぶとく生に縋り付くだろう。」
「……その時は、私が。
私が、必ず鬼舞辻無惨の息の根を止めます。」
御館様は淋しそうに微笑む。
「どんな結果になってもAに責任はないからね。決して、自死しないこと。」
Aはその言葉に肯を示すことができなかった。
64人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
kokona(プロフ) - クソデカ胸中ボイス大好きすぎますwww (2023年3月29日 0時) (レス) @page48 id: d3088186d6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:あちゃん | 作成日時:2021年2月1日 16時