【鬼滅の刃】紫陽花は輪廻を駆け巡る参 (ページ27)

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百六ページ27

　
｢そんな………この私が斬られた！？…こんな餓鬼に………………｣

｢うるせェ｣

未だ喋り続ける鬼の頭を、不死川が雑に斬る。
喋る事が不可能となった鬼はそのまま塵になり風へ流れて行った。

こうしちゃいられない、早く炭治郎の元へ向かわないと。

｢おいテメェ！フラフラじゃねェか！！｣
｢炭治郎と蜜璃ちゃんの方に行かないと…｣
｢そっちには伊黒と冨岡がいるはずだァ。
鴉が周辺叫び回ってたお陰で一里先…いやもっとか？その辺の柱は全員来てる。｣
｢ならよかった………｣
｢それよりお前大丈夫なのかァ？｣

不死川はまじまじとAの顔を覗き込んだ。
恐らく痣が気になるのだろう。
心拍は落ち着いたので、もう今は消えているが。

｢とりあえず向かうだけ向かいたい。不死川、手を貸してほしい。｣
｢仕方ねェな、ほら、乗れ。｣

不死川はAの前にしゃがむと、白い“殺”が刻まれた羽織をこちらへ向けてくる。
え？背負ってくれるの？
おんぶってこと？
………の、乗るか。
おずおずとAは不死川の背中に乗っかった。
そういえば不死川は長男だったけ……、うん、ぽいな。

｢よし、行くかァ。｣

不死川は里の方目掛け一直線に走って行く。
流石柱随一の足の速さ、迅速である。それでも配慮してくれているのか振動が殆どなかった。不死川の体幹はすごいな。

なんて考えているうちに里付近の崖まで辿り着いた。
崖下には炭治郎と禰豆子、そして奥に上弦の肆の本体。
もう日の出だ、崖下には日を遮る物がない。
禰豆子はそのままにしておけず、鬼の討伐にも向かえず、炭治郎は禰豆子を庇ったまま硬直してしまっていた。
義勇と伊黒と蜜璃はここにはいないので本体でない方と応戦しているのだろう。
今すぐ本体を斬ることができるのは、炭治郎しかいない。
このままでは逃げられてしまう。

「あいつ、何やって…」

不死川が己を降ろし向かおうとしたその時。
禰豆子が炭治郎を蹴飛ばした。
ジュッと音を立てて陽光に焼ける禰豆子を泣きながら見送り、炭治郎は上弦の肆の頸を斬る。

まだ、終わりじゃない。

「おいおい嘘だろォ…………」

「ね、禰豆子…………………？」

「お、おはよう」

禰豆子が、太陽を克服した。