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百一 ページ22

 
「呆けている暇はないですよ、ほらほらもう一回…ヒョッヒョッヒョッ」

左側からも同じように無数の針が飛んでくる。運が悪い事にAのいる小屋の屋根は脆く足場が悪かった。ぐっと踏み込んだ足は腐った木の板をバキリと折り、自身の足は沈んでいく。

「うっ………」

身体のバランスが崩れ、避け損ねた針が右半身へ刺さった。
目の前の鬼は嘸かし愉しそうに高笑いを繰り返す。
随分と癪に障る笑い声だ。
脳裏に過ったのは嘗て斃した手鬼だった。

徐々に指先からぴりぴりと痺れている感覚がしてきた。
もしかしたら麻痺毒か何かが針に仕込まれているのかもしれない。
右半身の針を抜きながら次の攻撃に備え刀を握り直す。

水の呼吸を繰り出し応対するが、何処から現れているのか壺から壺へ移動され、本体へ刃が届かない。
歯痒い思いについつい唇を噛み締めた。強く噛みすぎたようで、じわりと鉄の香りが口へ広がる。
これは………一人だと分が悪いかもしれない。



毒の影響か、呼吸の連発か。酷く目眩がする。
Aの身体は未だに遊郭での怪我を引き摺っていた。しのぶの言った通りまだ完治していないのだ。
切先がどんどんブレてきたのが鬼もわかった様で、顔には余裕を貼り付けて、穢い笑い声を響かせる。


五月蝿い、笑うな、黙れ。


ふつふつと苛立ちが溜まるが、それが上手く刀に乗らない。ダメだ、冷静になれ。痣さえ出せれば此方の物なのだ。痣を出さなければ…!その気持ちが更に焦りを起こしていることにAは気づいていなかった。



「水の柱と有ろうものが情けないですねぇ」
「水……?私水柱じゃないけど。」


このまま戦っても勝ち目は殆ど無い。
紫苑は取り敢えずこの麻痺毒と疲労を少しでもマシにしようと行動することにした。
鬼と対話するなぞ鬼殺隊らしからぬ行為だが、今できることはこれしかない。オマケに相対するこの鬼はプライドが高そうで挑発が効きそうである。

百二→←百



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設定タグ:鬼滅の刃 , 冨岡義勇 , 錆兎   
作品ジャンル:アニメ
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kokona(プロフ) - クソデカ胸中ボイス大好きすぎますwww (2023年3月29日 0時) (レス) @page48 id: d3088186d6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あちゃん | 作成日時:2021年2月1日 16時

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