【鬼滅の刃】紫陽花は輪廻を駆け巡る参 (ページ3)

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八十二ページ3

　
錆兎は義勇の買い取り先である荻本屋を調べていた。
恐らく、鬼がいる最有力候補は京極屋だ。
宇髄や錆兎の目を盗んで、日輪刀が無いとしてもあのAに抵抗させる事無く捕えた……恐らく、店の者である。遊女に化けている可能性も高い。
そちらは宇髄に任せ、錆兎と義勇は荻本屋を調べる事にした。

陽が沈んだ頃、遠くから見張りをしていた錆兎の肩へ止まったのは、見慣れた義勇の高齢鴉である。
何かあったのかと頭を撫でれば手紙ジャ…と足を差し出してきた。

手紙？

ぴらりと紙を捲る。
義勇は自身の呼吸の様に綺麗な字を書く。
だが滅多に手紙など出さない。
あの筆無精は先生やAにも文を返さないほどだった。

『地下へ続く道を見つけた。向かへ。』

簡素に書かれたものだ。
向かへって何だ、地下への道ってどこだよ、店の中から行ける道だと俺は通れないじゃないか。
言葉足らずは文でもかと心の中でいちゃもんをつけながら、そっと荻本屋へ近づく。

義勇のことだ。
何か考えているのだろう。
錆兎は、義勇のことは無条件に信頼していた。
それは逆も然り。

｢そういうことか。｣
｢？何がだ。｣

裏手に回ったところに義勇は居た。
店は上手く抜けてきたのか、実力行使で抜け出したのかは分からないが。
義勇の足元には拳大程の穴が空いている。

｢まさか、これか？｣
｢これだ。｣
｢どう考えても通れないだろう。｣
｢この下は空洞になっている。足音の響き方が少し違う。｣

義勇に言われて足踏みをすると、確かに微妙な差だが音の響きが違う。
屋根の上を転々としていた錆兎と宇髄には気づけない発見であった。

｢だから地面を抉ってくれ。｣
｢お前なぁ｣

その為に俺を呼んだのか、と錆兎は日輪刀を構える。
義勇の指示に異論は無いようだ。鱗滝一門は比較的脳筋の集まりである。かの奇柱様も、昔一隊士だった頃立派な洋館の扉を無理やり破壊して突破していた。