九十九 ページ20
「Aはどうして鬼殺隊に入ったんだ?」
「どうして……えっと…………」
どうして入ったんだっけ。
繰り返しを止める為?いや違う、これは後付けだ。鬼舞辻無惨を斃す為?違う、だって繰り返しを止めたいからだもの。
どうして、だっけ。
…………そうだ、舞織。
舞織を弔いたい。
「妹を弔いたくて。」
「紫苑には妹さんがいたのか。」
「うん。鬼舞辻無惨を斃したら、私は妹の、舞織の墓を作りたいの。ゆっくり眠れる場所を作りたい。」
Aがそう言ったと同時に、襖がからりと音を立てて開いた。
「ひぃぃぃ…………」
入ってきたのは頭が肥大化した老人…………………
いや、鬼だ!!!!
「____壱ノ型 水面斬り」
頸を狙ったAの刀に手応えはあったが掠った程度であった。ひらりと躱した鬼は天井へ張り付く。
「ヒノカミ神楽 陽華突!!!」
炭治郎の突きも躱し、ひぃぃと呻きながら老鬼は床へ着地した。
眸は裏返っていて見えないが、柱であるAの攻撃を軽々と避けている…ということは確実に上弦である。炭治郎と相対しているのでその数字は肆の筈だ。
あまりにも気配の隠し方が上手すぎて、視認するまで鬼だと気づかなかった。
「____水の呼吸」
だが、Aは一瞬の隙も見逃さなかった。
「肆ノ型 打ち潮!」
スパンっと頸が斬れる。
油断はできない。
Aの記憶の限りでは、上弦の肆は喜怒哀楽の印を持った四体まで分身する筈である。
頭と胴が泣き別れとなったがやはり塵にはならず、頭からは胴が、逆に胴からは頭が生え二体となった。
Aの近くにいた頭の派生が、葉の団扇を振り上げる。その場に突風が吹き荒れた。Aは咄嗟に傍の棚を掴んだが棚ごと窓の外へ放り出されてしまった。
「Aー!!!!!」
炭治郎と禰豆子を残し、Aはやむ無く戦場から離脱させられたのだった。
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kokona(プロフ) - クソデカ胸中ボイス大好きすぎますwww (2023年3月29日 0時) (レス) @page48 id: d3088186d6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あちゃん | 作成日時:2021年2月1日 16時