九十七 ページ18
Aは禰豆子を撫でながら、懐に仕込ませている金平糖の瓶を取り出す。
「禰豆子、これ一つあげる。綺麗でしょ。」
「むー!」
「わっ、金平糖だ。禰豆子、良かったな〜!」
「禰豆子ちゃんの瞳と同じ色ね!素敵だわ!」
食べることはできないが、禰豆子は桃色の金平糖を嬉しそうに手に取って眺めている。そんな可愛らしい姿に思わず笑みが溢れた。
「炭治郎達も夕餉が食べ終わったらあげるね。」
からからと金平糖の瓶を振り、自身の手に数個出す。
本当はAも皆と同じように食事を摂っても良かったのだが、戦闘前に慣れないことをすると後に響くのだ。特に食事は普段殆ど摂らない分、すぐに胃が痛くなる。戦いが終わったら蜜璃に美味しいお店へ案内してもらおう…なんて思いながら、Aは手元の金平糖を口に含んだ。
いつもより丁寧に噛み砕くと、咥内に腑抜けた甘味がぶわりと広がる。
誰かと食べると、いつもはまるで砂のように感じる砂糖の塊も酷く甘い。この偶に感じられる甘味がAは好きであった。
「Aさん、何も食べないんですか?」
「食べたよ」
「えっ、金平糖だけ?」
「Aちゃん、ちゃんと食べないと力が出ないわ!」
「あー……えっと、今は胃を休めないといけなくて。
今度また帰ったら美味しいお店に食べに行きたいな」
蜜璃ちゃんよろしくねと言うと、任せといて!と頼もしい返事が聞けた。しのぶとカナヲちゃんも誘って女子会をしよう。
炭治郎もそっか〜と流してくれたが、玄弥は未だに訝しげな視線を向けてきていた。
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kokona(プロフ) - クソデカ胸中ボイス大好きすぎますwww (2023年3月29日 0時) (レス) @page48 id: d3088186d6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あちゃん | 作成日時:2021年2月1日 16時