九十二 ページ13
目を覚ますと蝶屋敷の寝台の上だった。
頭にはぐるぐると包帯が巻かれている。
そんなに深い傷だったのだろうか。
「痛っ…」
そっと触れてみたらズキリと痛んだので、かなり深い傷だったのだろう。身体も包帯だらけである。
あの花魁鬼に張り飛ばされたことは、もうあまり覚えていなかった。
宇髄は、錆兎は、無事なのだろうか。
「A?」
「…義勇、おはよう。」
義勇は目を見開くと弾け飛んだように走り出し、恐らくしのぶを呼びに行った。義勇……走ると怒られるよ〜なんて、呑気に思いながらしのぶを待つ。
「Aさん!」
「しのぶ。」
「ああよかった…!!今回は、アオイやなほ達の代わりに行ってくださりありがとうございました。」
しのぶはそう言うと、頭を下げた。
ドアの方に視線を向けると看護師達も頭を下げていた。
「やめて、そんな大した事」
「してるんですよ。この子達が行ってたら確実に死んでしまっていたでしょう。本当にありがとうございました。」
「でも…」
「受け取っておけ。」
義勇に促され、Aは素直に感謝を受け取る。
別に感謝されるようなことはしていないのだけど。
「しのぶ、錆兎と宇髄は?」
「お二人とも無事です。暫く安静が必要ですけれど。
貴女もですからね!」
しのぶがここまで念を押すのは、奇柱は蝶屋敷をすぐ抜け出すためである。
前回の療養の際も結局抜け出していた。
「はーい。」
「毎回返事だけなんですよ貴女は!
目を離すとすーぐどっか行っちゃうし、毎度毎度アオイ達が探しているんですからね。もう少し自分が重症人だと言うことを自覚してください。」
拳骨しますよとしのぶが言うと、Aもきゅっと縮こまる。暫くくらっていないがしのぶの拳骨は痛い。
「第一貴女、列車任務での怪我も、退院できただけで完治はしてなかったんですよ。今回の頭の怪我の理由はわかりますか?わかってないですね、傷が開いたんです。」
「そ、そうだったんだ………」
「はいそうです。アオイ達の代わりに行ってくれたのは大変感謝していますが、それはそれ、これはこれです。自身の怪我の度合いが計れないのは関心しません。お願いだから今回は完治するまで安静にしていて下さい。」
「はい…」
「後ですね、貴女は休息を取らなすぎなんですよ。
今回も任務後にまた任務だったと聞きました。非番って言葉知っていますか?任務をぎゅうぎゅうに詰めるのもいい加減やめてください。」
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kokona(プロフ) - クソデカ胸中ボイス大好きすぎますwww (2023年3月29日 0時) (レス) @page48 id: d3088186d6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あちゃん | 作成日時:2021年2月1日 16時