九十一 ページ12
毒に侵された身体は、全く言うことを聞かなかった。
起き上がることすらできない。
全身があつく、びりびりと痺れている。
宇髄も錆兎も、下手したら何処にいるかわからない炭治郎までもこのままでは死んでしまう。
遠くで、宇髄の妻達が泣き喚いている声が聞こえた。
____死ぬ、死んでしまう。
上弦の参振りの近づいてくる死に、心臓は又もドックン、ドックンと激しく音を立てている。逆に意識は朦朧としてきた。
「A!」
「たん…じろ………?」
Aを覗き込むように炭治郎と禰豆子が現れた
炭治郎、毒は、身体は?と聞きたいが、上手く声が出ない。ひゅっ、ひゅっと掠れた息しか出てこなかった。
「禰豆子、頼む!」
薄い感覚の中、禰豆子が己の腕を掴んだのがわかった。
そのままごうっと炎に包まれる。
これは確か、列車でも見た禰豆子の血気術…………
「っ!?
えっ…?毒が………消えた!?」
「よかった…!!!禰豆子、偉いぞ!」
Aの身体はすっと軽くなり、酷く膨らんでいた顔の腫れも一気に引いていた。怪我は治っていないが意識と呼吸は安定している。直ぐにぐっと傷口を締め、止血した。
「禰豆子の血鬼術は解毒もできるの…?」
「詳しいことは分からないけど、多分、鬼の血鬼術の効果を消しているんだと思う。怪我は治ってないからもう動かないで!俺は禰豆子と宇髄さんのところに行ってくるから!」
「あっ、待って!炭治郎!!」
「どうした?」
「錆兎は」
Aの鬼気迫る表情に圧倒されながらも、炭治郎は微笑んで無事を告げた。
正確には毒は何とかなったので一命は取り留めているが、怪我は酷いのでギリギリの状態である。
「錆兎!」
「A、お前も怪我だらけだろう、動くな。」
駆けてきたAを義勇が咎める。
錆兎は落ち着いて眠っている様だった。
「良かった…生きてた…………」
安心と共にどっと疲労が襲う。
Aは眠るように意識を手放した。
64人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
kokona(プロフ) - クソデカ胸中ボイス大好きすぎますwww (2023年3月29日 0時) (レス) @page48 id: d3088186d6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:あちゃん | 作成日時:2021年2月1日 16時