第38話 ページ42
♡♡
「Aちゃん折角だしさ、デートってことにしよ〜?」
『駄目ですよ。』
「えー、そっかぁ。」
隣で危ない発言をした不破さんを、
あまり見ないようにしている。
「目、合わないね?」
『…み、ないようにしてます。』
「なんでぇ?」
ドキドキしてしまう自分がいて、本当に嫌だ。
不破さんはチャラい(失礼)から、こういった事を他の人にもしているに違いないのに。
勘違いなんかしてはいけない。
『始まりますよ。』
「…怒った?」
『怒ってないですよ。』
「ごめんね、Aちゃん。」
『……いえ、』
何も言えず黙ってしまった。
何か言わないと、何か言いたいのに、
言葉が上手く出てこない。頭が整理出来ない。
不破さんも黙り込んでしまった。
私は必死に言葉を出す。
『ふわさん、私こうやって会えて嬉しいんです。』
『…あ、いや、変な意味じゃ!意味は一切なくて!』
恥ずかしさで舌が回らない私を、目を細めるようにして笑って見てくる。
同時に、不破さんの喉仏が上下したのが分かった。
『会えて嬉しいっていうのは、中々こういった趣味の友達が居ないから…、』
『だから、趣味が合って嬉しいというか…』
「…俺は友達じゃないからね?」
『はい、重々承知してます、。』
「う〜んほんとに?」
『勿論ですよ。』
『不破さんこそデートとか変な事言わないで下さいね。』
「えー!!むり♡」
『な!』
「Aちゃん、始まるよ。」
すぐ近くにある端正な顔が、何も言えないようにしてくる。
不破さんが言った通り、映画は始まった。
集中できないと思っていたが、案外すぐに惹き込まれてしまった。
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電気が着いた。
『すっごくスリルがあって、リアリティも少しあって好きです。』
「うんうん、わかるよぉ。」
楽しそうに話す彼女を俺は友達としてなんか見れない。
まあ、彼女の言う通り俺らは友達では無いけど。
『また、偶然会えたらいいですね。』
約束すればいつだって映画を見ることはできるくせに、
先に線を引かれてしまう。
「そうやね。」
『では私は今から少し買い物して帰りますので、また明日。』
引き止めることすら出来ない。
あんなにドキドキした顔を見せるくせに、
最後には線を引かれて距離を置かれる。
ズルすぎる。
♡♡
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エス兎(プロフ) - 蜜柑缶詰さん» 遅すぎる返信お許しください。優しいコメント本当にありがとうございます。神作品だなんて言ってくださって本当に嬉しいです。頑張ります🙇 (5月18日 0時) (レス) @page50 id: 8b412c03e0 (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑缶詰 - 初コメです!急すぎますが、本当に好きです!!無理のないように更新頑張ってください!応援してます!!!こんな神作品を書いてくださってありがとうございます!!! (2023年4月3日 20時) (レス) id: 45c5ef30c9 (このIDを非表示/違反報告)
エス兎(プロフ) - 或さん» コメント有難うございます✨神作品と言って頂き本当に本当に嬉しいです🙇😭これからも頑張ります…!有難うございます! (2023年2月21日 23時) (レス) id: 8b412c03e0 (このIDを非表示/違反報告)
或 - 控えめに言って神作品です。 (2023年2月21日 22時) (レス) id: 62feb543dd (このIDを非表示/違反報告)
エス兎(プロフ) - ここさん» ここさん😭♡コメント有難うございます🙇嬉しいことばかり言って下さり本当に有難うございます…🥹✨頑張ります♡ (2023年2月4日 22時) (レス) id: 8b412c03e0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:エス兎 | 作成日時:2023年1月8日 23時