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中原中也という男は男の癖に小柄だ。
そのくせチビと言えば青筋を立てて怒ってくる。
女の私と彼の身長差は、約10センチ。男女の理想の身長差は10センチだと言われているが、男女の立場が逆になっている。
「…あ〜〜糞」
ポートマフィアの秘匿や傘下組織の情報が収納された幹部クラスの人間しか入れない書斎に足を運ぶと、聞き慣れた声が聞こえてきた。
『どうしたの中也』
声の主を辿ると、其処には長い付き合いである中原中也が頭をガシガシと頭を掻いてある一点を見ていた。
その目線の先は、中也には届きそうに無い高さにあるとある資料の様だ。
『取れないの?』
「はァ!?ンな訳ねェだろ!!」
『あっそ』
取ってあげようと思ったのも束の間。あんな言い方されたら少し意地悪をしてやりたいと思った。
取れないと判っているのに私は体を別方向へと向け、ツカツカと自分の用事を果たしに行った。
『……で?』
お目当の資料を見つけ、私は再び中也の様子を見に行けば、相変わらず先程と同じ場所で奮闘していた。
『自分で取れるんじゃ無いの?』
「う…煩ェ!」
ケラケラと私はその様子に笑っていると顔を真っ赤しにして中也は怒鳴ったが、毛程も怖くない。
『中也、云う事は?』
にこにこと笑い乍ら中也にそう聞くと、「ああああああ!!」と唸り俯いた。
「……取ってくれないか」
『良く出来ました』
いつもの威勢は何処へやら。顔を真っ赤にしてそう云う中也が愛しいなと思った。
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りん(プロフ) - この作品、何度読んでも良いです。泣けます。 (2018年5月30日 23時) (レス) id: 0f68341c00 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:豆猫 | 作成日時:2018年3月14日 7時