toxic 2-2 ページ8
「無個性無個性って…お前は昔からそうだ、俺が何をするにも“無個性”って事を強調して、俺の行動を制限して、縛り付けて…ｯ！！！俺はお前が思ってるほど弱くないし無力じゃないｯ！！わかったらとっとと帰ってくれ！！！」
初めて片割れに感情をぶつけた。
普段声を荒げることなんてないせいか、はたまた感情が昂ったせいか。俺はぜぇはぁと肩を上下させながら片割れを睨んだ。
片割れは少し驚いたような顔を見せると、すぐにまたあの気持ち悪い微笑みを浮かべた。何がそんなに面白いんだ。
言葉を続けようとふたたび口を開た時だった。
パキパキ。
頭上で確かにそんな音がした。
両手首が異様なまでに冷たい。痛いとまで思うその冷たさに思わず見上げると、俺の両手首を片割れは氷で拘束し、壁に縫い付けていた。
手首から手を離した片割れは、抵抗する術を失った俺の姿を舐め回すように見て、ツクツクと心底愉快そうに喉を鳴らして笑う。
「“弱くないし、無力じゃない”なぁ……
.
……お前、こんな状況でもそんなことが言えんのか？」
「…ｯ」
ただただ、悔しさでいっぱいだった。
俺にも個性があれば、何か抵抗する術があったかもしれないのに。炎の個性があれば──この氷を溶かすことがでたのに。
そんなタラレバを、逆上した頭で虚しく思った。
だが現状、無個性の俺は、無様にもこの氷から逃れる術を持っていないのだ。ただ、ふつふつと湧き上がる怒りと嫌悪を込めた視線を、目の前の男に向けることしかできない。
あいつの言う通り、「何も出来ない無力な無個性」でしかなかった。
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佐波(プロフ) - りら(元:白紙)さん» コメントありがとうございます…！不穏な雰囲気が出るよう比喩など工夫していたのでとても嬉しいです☺︎まだまだ稚拙な文章ではありますが、これからも拙作をよろしくお願い致します。 (2021年12月21日 7時) (
レス) @page21 id: c20f609501 (このIDを非表示/違反報告)
りら(元:白紙)(プロフ) - 佐波様の表現がとても好きで男主の首を真綿で締めていくような背がひんやりする雰囲気がとても好きです。私も字書きの端くれとして勉強させて頂きます。 (2021年12月21日 2時) (レス) id: 8a3a88a56b (このIDを非表示/違反報告)
佐波(プロフ) - 無名(ナナ)さん» コメントありがとうございます…！実際に感想をいただけてとても嬉しいです☺︎不定期な更新ではありますが、これからも何卒よろしくお願い致します。 (2021年10月8日 22時) (レス) @page15 id: af903ba2ba (このIDを非表示/違反報告)
無名(ナナ)(プロフ) - なんで...評価は1回しか押せないんだ...5万回くらい右側の星押してます、更新頑張ってください (2021年10月8日 11時) (レス) @page15 id: b78d925f50 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：佐波 | 作成日時：2021年9月23日 11時
