toxic 8-3 ページ25
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今までも、今も、ずっとそうだ。
周りから見ればあいつが一番で、俺はあいつのオマケ扱い。“焦凍君の双子のお兄ちゃん”というレッテルは、俺とあいつの関係を知っている人間全てに貼り付けられてきた。
いつだってあいつと比べられ、羨ましいと嫌味を言われ、無個性の俺を哀み、そして弟目当てに言い寄ってくる。大抵の人間はみんなそうやって俺と接してきた。
家族は？
父さんは言うまでもなく俺に無関心だった。2つの個性を欲しがった父さんにとって、無個性の俺はガラクタ当然なのだから。
兄さん姉さんは俺の事を見てくれているけれど、その奥底には最高傑作の片割れとして生まれてきた無個性の俺への同情が見える。言動の節々に、俺を気遣うような素振りが見えるから。
記憶の中のお母さんはいつも泣いている。俺が個性を持って生まれてこれなかった事を自分のせいだと言って、懺悔するようにきつく抱きしめては泣いて謝られた。個性が発現しなかった事を泣いて謝るお母さんの姿が、嫌な言い方をしてしまえば、お父さんと同様個性しか見てくれていないように幼いながら思ってしまった。
俺は別に個性を持たずに生まれてきた事を恨んだことはなかった。世界にもごく稀にだが無個性は存在するし、無個性だからといって人生が詰むかと聞かれればそうでもないと知っていたから。
ただ、俺は見て欲しかった。
焦凍の兄でも、無個性の可哀想な子でもない。
“轟A”を見てほしかった。
その点、片割れはどうだ？
片割れはいつだって俺を見てくれていた。
過剰な干渉、歪な愛情。それを抜きにしてしまえばあいつの瞳はいつだって俺を、俺自身を捉えていた。何もできない無個性で可哀想に。でもそんなお前も愛らしい。耳にタコができるほど聞いてきたその言葉はの芯は、いつだって俺自身に向けられてきた。
────他の家族ですら見てくれなかった俺自身を、こいつだけが見てくれている。
なんて笑える皮肉なのだろう。
俺が望んでいたものを、俺がこの世で一番嫌悪する人間だけが持っているなんて。
悔しくて、虚しくて、俺は静かに涙を流した。
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ストック分が全て公開されましたので、次回以降は完成次第の更新となります。それに伴い更新がかなり不定期になりますので、予めご了承ください。
併せて、「toxic 7-3」の台詞を一部変更した事をご報告させていただきます。読み返さなくても今後の展開に差支えはございません。
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佐波(プロフ) - りら(元:白紙)さん» コメントありがとうございます…！不穏な雰囲気が出るよう比喩など工夫していたのでとても嬉しいです☺︎まだまだ稚拙な文章ではありますが、これからも拙作をよろしくお願い致します。 (2021年12月21日 7時) (
レス) @page21 id: c20f609501 (このIDを非表示/違反報告)
りら(元:白紙)(プロフ) - 佐波様の表現がとても好きで男主の首を真綿で締めていくような背がひんやりする雰囲気がとても好きです。私も字書きの端くれとして勉強させて頂きます。 (2021年12月21日 2時) (レス) id: 8a3a88a56b (このIDを非表示/違反報告)
佐波(プロフ) - 無名(ナナ)さん» コメントありがとうございます…！実際に感想をいただけてとても嬉しいです☺︎不定期な更新ではありますが、これからも何卒よろしくお願い致します。 (2021年10月8日 22時) (レス) @page15 id: af903ba2ba (このIDを非表示/違反報告)
無名(ナナ)(プロフ) - なんで...評価は1回しか押せないんだ...5万回くらい右側の星押してます、更新頑張ってください (2021年10月8日 11時) (レス) @page15 id: b78d925f50 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：佐波 | 作成日時：2021年9月23日 11時
