toxic 7-3 ページ21
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「───俺、自分の家に戻るわ」
昼休み。
気まずいままだった同僚を仮眠室に呼び、そう告げた。
「…わかった」
同僚は椅子に腰掛けながら、何とも言えない顔をしながら頷く。
「…でも、大丈夫なのか？元々はストーカーに悩んでたから一緒に住み始めたわけだろ？」
同僚は席に座ったまま、こちらを見上げるようにしてそう尋ねた。
そういえば、俺は同僚に“ストーカー”としか伝えていなかったっけ。
…そのストーカーがショートだって知ったら、何で思うだろうか。
これはそんな出来心だ。
「…そのストーカーがショートなんだよ」
俺の言葉を聞いた同僚の顔が、昨日の様に動揺の色に変わった。
嗚呼、言ってしまった。
そう自分でも思った。
だが、そこに俺は罪悪のかけらも感じることはなかった。だって、先に俺の居場所を壊したのはあいつなのだから。
目の前の彼が抱いていたあいつの印象が変わろうとも、俺は何も悪くない。
そんなことを考えながら同僚の言葉を待つ。
…でも、世間の考えというものは残酷だ。
「…いやいや、ヒーローがストーカーなんてするわけないだろ」
俺が動揺の色だと思っていたそれは、俺に向けての猜疑心だった事に、俺はようやく気付いた。
．
“ヒーローは皆善意100%”
“純粋で平等に人を愛する者”
かつてのオールマイトを継ぐ平和の象徴“デク”がトップヒーローになった昨今、当たり前のように人々が抱いているヒーローの固定概念。
だが、ヒーローだって人間だ。
人々の崇高の域にまで到達しているデクにだって、誰よりも守りたい人間の一人や二人いるはずなのだ。それは実の両親であるだろうし、幼馴染や親しい友人、はたまた最愛の人であるだろう。
それなのに、人々はヒーローだからと勝手な固定概念を抱き、その姿に憧れる。
デクにだけじゃない。ショートにも、あのダイナマイトにも。誰に対しても人々は同じ様な理想を抱き、美化している。それが世間の見解。
100に等しい1を助ける事を許されない、息苦しくて馬鹿らしい見解だと思う。
目の前にいる“元”聖人君子も、それらと同じだったのだ。
ヒーローなのだからそんなことするはずないだろうと。そう俺に言っているような視線が、表情が、もどりの付いた針で俺の心に深く深く突き刺さったようだった。
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佐波(プロフ) - りら(元:白紙)さん» コメントありがとうございます…！不穏な雰囲気が出るよう比喩など工夫していたのでとても嬉しいです☺︎まだまだ稚拙な文章ではありますが、これからも拙作をよろしくお願い致します。 (2021年12月21日 7時) (
レス) @page21 id: c20f609501 (このIDを非表示/違反報告)
りら(元:白紙)(プロフ) - 佐波様の表現がとても好きで男主の首を真綿で締めていくような背がひんやりする雰囲気がとても好きです。私も字書きの端くれとして勉強させて頂きます。 (2021年12月21日 2時) (レス) id: 8a3a88a56b (このIDを非表示/違反報告)
佐波(プロフ) - 無名(ナナ)さん» コメントありがとうございます…！実際に感想をいただけてとても嬉しいです☺︎不定期な更新ではありますが、これからも何卒よろしくお願い致します。 (2021年10月8日 22時) (レス) @page15 id: af903ba2ba (このIDを非表示/違反報告)
無名(ナナ)(プロフ) - なんで...評価は1回しか押せないんだ...5万回くらい右側の星押してます、更新頑張ってください (2021年10月8日 11時) (レス) @page15 id: b78d925f50 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：佐波 | 作成日時：2021年9月23日 11時
