toxic 5 ページ13
「どうした？悩み事か？」
あいつの過干渉はどうにかならないものか。
職場ですら思わず考えてしまう事案に頭を悩ませていると、顔に出ていたのか同僚が声をかけてきた。
俺と同じ営業部で成績も優秀。誰とでも分け隔てなく接する彼は、端正な顔立ちも相まって上司部下問わず社内の人気者だ。
そして何より、彼は人が困っている時すぐに声をかけてくる。本当に出来た人間だと思う。
「……もし自分よりも強いやつから執拗に迫られてきたら、どうすればいいと思う？」
一人で抱えているのも限界であった事や第三者の意見も聞きたかった事もあり、俺は同僚に思い切って相談する事にした。
「自分よりも強いやつから？……轟お前、カツアゲとか嫌がらせされてないよな？」
同僚は心配そうに見つめてくる。
「あー…カツアゲとかそういうんじゃなくて……ストーカーとか、そっちの方」
「はー、モテる男は大変だねぇ」
「お前…人がこんなに悩んでるっていうのに……」
冗談めかしく返答する同僚をじろりと一瞥する。
「ごめん、ちょっと現実味が全然なくて。…ストーカーって実際にあるんだな」
そんな俺の様子に同僚は慌てて弁解した。
まぁ確かに、ストーカーなんて言葉はよく耳にするものの、身近で起こることなんて滅多にないし、どこか非現実的な言葉として捉えてしまうのは仕方がないことだと思う。俺だって同僚の立場なら、似たような反応で返しただろう。
同僚はまるで自分のことのように一緒に悩んでくれた。
「あんま酷いようなら引っ越すのも一つの手だぞ？この前引っ越したって言ってたし、そう簡単に今住んでるところ手放すのも嫌だろうけど…ストーカーに目付けられてるならしょうがない事だと思う。それに轟なら、余裕で引っ越すための資金作れるだろ」
「まぁ…確かにそうだけど……」
確かに一理ある。
だけど、俺が引っ越せばあいつはまた何かしらの手段で俺の住所を入手して押しかけてくるだろう。
所詮、俺が引っ越したところでただのいたちごっこに過ぎない。
煮え切らない俺の返答に同僚は首を傾げる。
が、そこで詮索してこないところが彼の優しいところであり、人に好かれるポイントなのだろう。
一緒に頭を悩ます事数分。同僚は名案でも思いついたかのように手を叩くと口を開いた。
「じゃあ、しばらくの間俺の家で過ごさないか？」
…この男のお人好しには、流石のヒーローも脱帽ものだろうと思ってしまった。
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佐波(プロフ) - りら(元:白紙)さん» コメントありがとうございます…！不穏な雰囲気が出るよう比喩など工夫していたのでとても嬉しいです☺︎まだまだ稚拙な文章ではありますが、これからも拙作をよろしくお願い致します。 (2021年12月21日 7時) (
レス) @page21 id: c20f609501 (このIDを非表示/違反報告)
りら(元:白紙)(プロフ) - 佐波様の表現がとても好きで男主の首を真綿で締めていくような背がひんやりする雰囲気がとても好きです。私も字書きの端くれとして勉強させて頂きます。 (2021年12月21日 2時) (レス) id: 8a3a88a56b (このIDを非表示/違反報告)
佐波(プロフ) - 無名(ナナ)さん» コメントありがとうございます…！実際に感想をいただけてとても嬉しいです☺︎不定期な更新ではありますが、これからも何卒よろしくお願い致します。 (2021年10月8日 22時) (レス) @page15 id: af903ba2ba (このIDを非表示/違反報告)
無名(ナナ)(プロフ) - なんで...評価は1回しか押せないんだ...5万回くらい右側の星押してます、更新頑張ってください (2021年10月8日 11時) (レス) @page15 id: b78d925f50 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：佐波 | 作成日時：2021年9月23日 11時
