△toxic 0 ページ2
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「────A、朝だぞ」
唯一ひとりになれる時間は、その男の声で終わりを迎えた。
目を開けると、目の前には自分とよく似た顔の男がこちらを見つめている。
ただ一つ違うところと言えば、その男の左目には痛々しい火傷跡が付いているということだ。
神様は完璧な人間を作らないと言う。
おそらくその左目の傷は、欠点のないこの男に神様が故意につけた、唯一の欠点なのだろう。
…否、前言撤回する。
この男に与えられた欠点はもうひとつあった。
目を開けた俺の姿を確認すると、吐き気を催すほど優しい手付きで俺の頬を撫でる。母親譲りの個性のせいか、その右手から人肌は感じない。人間味のない冷たい手のひらの温度が、無情にもこの光景が夢ではない事を俺に知らしめた。
「おはよう、A」
女ならきっとその声だけで蕩けてしまうのだろう。
胸焼けしそうな程甘ったるい声で、表情でそう言うと、男は俺の唇にキスを落とす。寝起きなど気にしないとでも言う様に、深く、呼吸を奪われるキスだった。
全身の毛という毛が逆立つ感覚を覚える。
口内を掻き回すこの男の熱い舌の感触はいつだって慣れないものだ。況してや“兄弟”でだなんて。
ひとしきり堪能し終えたそいつはようやく俺を解放する。奪われた酸素を取り戻す様にぜぇはぁと荒く呼吸をする俺を、恍惚とした表情でそいつは眺めた。
嗚呼、気持ち悪い。
早く口を濯いで、歯を磨いてしまいたい。
けれど、こいつはそれを許さない。
まだ息が整っていない俺のシャツの中に指を忍ばせた。
ぞわりとした嫌悪感が体を巡る。肌に触れている男の手を俺は掴んで制した。
…否、制しようと試みたと言った方が的確だ。
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佐波(プロフ) - りら(元:白紙)さん» コメントありがとうございます…！不穏な雰囲気が出るよう比喩など工夫していたのでとても嬉しいです☺︎まだまだ稚拙な文章ではありますが、これからも拙作をよろしくお願い致します。 (2021年12月21日 7時) (
レス) @page21 id: c20f609501 (このIDを非表示/違反報告)
りら(元:白紙)(プロフ) - 佐波様の表現がとても好きで男主の首を真綿で締めていくような背がひんやりする雰囲気がとても好きです。私も字書きの端くれとして勉強させて頂きます。 (2021年12月21日 2時) (レス) id: 8a3a88a56b (このIDを非表示/違反報告)
佐波(プロフ) - 無名(ナナ)さん» コメントありがとうございます…！実際に感想をいただけてとても嬉しいです☺︎不定期な更新ではありますが、これからも何卒よろしくお願い致します。 (2021年10月8日 22時) (レス) @page15 id: af903ba2ba (このIDを非表示/違反報告)
無名(ナナ)(プロフ) - なんで...評価は1回しか押せないんだ...5万回くらい右側の星押してます、更新頑張ってください (2021年10月8日 11時) (レス) @page15 id: b78d925f50 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：佐波 | 作成日時：2021年9月23日 11時
