冬の向日葵 《緑》

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「…大丈夫やって！

キミなら見つけられる」









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私の様子を見て、大毅くんはそんな事を言ってくれた






優しく、ニカッと笑って








誰もいない講義室で、授業をサボっている罪悪感と共に、




ほんの少し、この空間にワクワクしていた









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「先輩、大毅くんの話たくさんしてくれたんです」


「そうなん？なーんか恥ずかしいわぁ」








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目を細めて、風で揺れる紅く染まった並木を眺めていた







そんな大毅くんは、幸せそうだった









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「…学校、来てんねんで」


「えっ？」


「…ん、いや」


「ごめんなさい、うまく聞き取れなくて」






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先輩は、笑うと目元がくしゃっとし、




その笑顔は、私までをも、笑顔にした








綺麗な笑顔だった








でも、時にするあの、苦しい笑顔









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「…大毅くんも、そういう笑顔見せるんですね」









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誰でも苦手だ






誰の笑顔でも、苦しい笑顔は、苦手だ







胸が締め付けられ、息がし辛い









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「アイツも、よくそうやって笑うよなぁ。

わかりやすいねん。アイツも…小瀧も」


「望、昨日部活終わり様子がおかしかったんです」


「おん、たぶん俺の所為やなぁ」


「えっ…？」


「今日たぶん、学校来うへんよ。

帰り、会うてあげてや」









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うまく聞き取れなかったさっきの言葉を、





彼はもう一度言おうとはしなかった









望に会ってあげてと言われたが、





誰に言われなくても、会いに行くつもりだった









心配なの



昨日のこともあって









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「望は私に、ごめんなって、言ったんです」


「…おん」


「昨日、何があったんですか」









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「俺からは言われへん」と、



大毅くんはまた、苦しく笑った









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もう一度チャイムが聞こえた






椅子を引く音が廊下中に響き渡り、やがて人の声で賑わい始めた









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「耳塞ぎたくなるよなぁ…

静かな教室に居ると、不協和音に聞こえへん？」








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不協和音の中、私と大毅くんは二人きり





顔を見合わせて、黙り込んだ









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