◇24 ページ24
.
「最後まで俺を感じてたかった、俺がいつもここにおるから香りが残ってるんやって
ピアノの上にあった手紙にそう書いてあってさ、
好きやったんやって、俺の事、
兄としてやなくて異性として、好きやったって」
私の手を握ったまま先輩は体を起こした
床に手をつき、私の手を握る右手に力を込めて目と目を合わせる
近い距離、逸らすことのできない目に吸い込まれていくようだった
「Aちゃんには兄妹はいる？」
「…いません、あっくんが兄のような存在です」
「そう、照史が好きか？」
「好きです、大好きです、…けど、」
「俺も好き、妹が好きやった、
…気持ち悪いやろ、両想いやってん、俺と妹
けど結ばれる事はない、アイツは何を思ったのか死を選んだんや、アホやなぁって死に顔見ながら思うたよ
お前が死ぬ必要はなかったんとちゃうかって、もう息もしてへん心臓も動いてへんアイツに言うたってなぁ
なーんも返ってこうへんし、涙も出ぇへんねん」
床につけていた左手で私の頬に触れた
包み込むように、その左手は冷たかった
私は泣いていないのに涙を拭うように親指で撫でる�霤沈菁擇詫イ靴�笑う
見た事もない、優しい目に、笑顔
心臓がドクっと跳ね上がり喉の奥が熱くなった
「…�霤沈菁據∋笋六笋任后�宮下Aです」
「知ってんで」
「違う、先輩は今私を見てません、
帰ってきてください、�霤沈菁擇叩∋笋鮓�てくださいっ！」
この時に初めて私は気付きました
ああ、私は�霤沈菁擇�好きなんだ って
初めて “恋” を知りました
何も変わらない�霤沈菁據�呼ぶ名は私の名前
けどその目は私を見ていない、心は私に向いていない
苦しくて、溢れた涙は先輩の親指へと吸い込まれて消えていく
「何言うてるん、ちゃんと見てるで、見えてるで」
「だからっ、」
「なら俺はどうしたらええの？なあAちゃん、
何がそんなに怖いねん、何に怯えてるん」
とんでもない人を好きになった
そうは思っても、堕ちたその沼は深かった
もう抜け出す事もできなくて、今触れている肌にも熱は帯びる
合わさる視線に幸福を覚えて、気がつけば私も先輩へ手を伸ばしていた
�霤沈菁擇遼砲六笋亮蠅茲蠑�し冷たくて、じんわりと熱が行き来するのを感じた
音楽室の真ん中
時計の針が進む音だけが鳴り響く
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1629人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
なあちゃむ(プロフ) - コメントの返信ありがとうございました！桜さんの作品は自分の頭の中で映画のように綺麗に想像することができるので本当に素晴らしいです。桜さんの作品、すべて読ませていただきました。どれも素敵で、読み直した作品もあります。これからも更新楽しみに待ってます。 (2016年8月10日 8時) (
レス) id: 525c05de2b (このIDを非表示/違反報告)
桜(プロフ) - なあちゃむさん» 「また明日」っての方でもありがとうございます、とても嬉しいです、読んでくださる方の脳内で映像化されるような情景描写、美しく綺麗な世界になるように心掛けております、なのでお言葉とても嬉しく自信になります！書いてて良かったです、本当にありがとうございます (2016年8月1日 10時) (レス) id: 3a95ea47e4 (このIDを非表示/違反報告)
桜(プロフ) - 怜奈 桃ジャス民さん» 順調に進んでおられて良かったです、わかりました、応援していますね(^^) (2016年8月1日 10時) (レス) id: 3a95ea47e4 (このIDを非表示/違反報告)
なあちゃむ(プロフ) - 読んでいてその風景を思い浮かべることができました。ストーリーも本当に素晴らしくて、占ツクを読んで泣いたのは春紫苑が初めてです。本当に素敵なお話でした。また読み返します。 (2016年7月26日 17時) (レス) id: 525c05de2b (このIDを非表示/違反報告)
なあちゃむ(プロフ) - コメント失礼致します。初めまして、友達がオススメしているのを聞いて、久しぶりに占ツクにログインして春紫苑を読みました。私が期待していたイメージを遥かに超えて本当に素敵な作品でした。情景描写の美しさ、メンバーのキャラクター、すべてがイメージとぴったりで (2016年7月26日 17時) (レス) id: 525c05de2b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：桜
| 作成日時：2016年6月21日 1時
