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「あっくん、春紫苑って知ってる？」
目の前でうどんをすすり、口いっぱいにそれを入れながらモゴモゴと「知らん」と言う
私が“あっくん”と呼ぶその人物はひとつ上の親友、桐山照史
私が関西へ越してきた時、お隣さんだったのがきっかけで仲良くなった
中学生の頃からずっと一緒
スーツを着るあっくんは仕事の途中
「昼休みやねん」と私が勤めるCDショップまでわざわざ足を運び、
店長に無理を言って早めにお昼休憩をいただき、
近所にあるあっくんの好きなうどん屋さんへ二人で入り、
暑くなりワイシャツの袖を捲くって幸せそうに大好物のうどんを夢中に食べ続けるあっくんを眺めていた
「絶対知ってるよ、そこら中に生えてるもん」
「なに、雑草なん？」
「花咲いてるよ、ほら、コレ」
大人になったあっくんでも、学生の頃から変わらない大きな笑い声
可愛らしい笑顔と特徴的な笑い声には、何年経ってもつられてしまう
「何がおかしいの」と言う私の声も、ついつい笑いが含んでしまうほど
「ああっ！うん、見たことあるわっ！」
「でしょ、春紫苑っていうんだよ」
「ふーん、…で？急にどうしたん、
その、はるじおん？はれじおん？」
「ハルジオン」
「おん、はるじおんがどうした？」
そんな髪型で怒られないのだろうかと思うほど、
くるくるとパーマのかかった黒髪
少し目に掛かった重たい前髪を箸を持つ右手の親指で払い、
あっくんは不思議そうに首を傾げていた
「ううん、特に何もないよ」
「嘘つけ、じゃあ何でこの話題出したん」
「お客さんに聞いたの、よく道端で見かけるこの花にも、ちゃんと名前があるんですよーって」
「…なあ、」
「わかった、ごめんね
そしたらさ、会社に戻ったら調べてみてよ、
春紫苑の花言葉、…今はダメだよ、恥ずかしいから」
高校時代
周りが見えなくなるほど想いを寄せた先輩がいた
仲良くなれたのに、その先輩は私に一切振り向くことなく卒業していき、
連絡先も知らぬまま、離ればなれになってしまった
春紫苑 - “追想の恋”
高校を卒業して何年も経つのに、今もなおその恋を思い出しては胸を締め付けられる
何年も経つのに私の心は先輩で埋め尽くされていて、
追想の中で、私は恋をしている
“貧乏草”と呼ばれる春紫苑の様にしぶとく、
私は恋をしていた
そんな私の、高校時代の話です
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なあちゃむ(プロフ) - コメントの返信ありがとうございました！桜さんの作品は自分の頭の中で映画のように綺麗に想像することができるので本当に素晴らしいです。桜さんの作品、すべて読ませていただきました。どれも素敵で、読み直した作品もあります。これからも更新楽しみに待ってます。 (2016年8月10日 8時) (
レス) id: 525c05de2b (このIDを非表示/違反報告)
桜(プロフ) - なあちゃむさん» 「また明日」っての方でもありがとうございます、とても嬉しいです、読んでくださる方の脳内で映像化されるような情景描写、美しく綺麗な世界になるように心掛けております、なのでお言葉とても嬉しく自信になります！書いてて良かったです、本当にありがとうございます (2016年8月1日 10時) (レス) id: 3a95ea47e4 (このIDを非表示/違反報告)
桜(プロフ) - 怜奈 桃ジャス民さん» 順調に進んでおられて良かったです、わかりました、応援していますね(^^) (2016年8月1日 10時) (レス) id: 3a95ea47e4 (このIDを非表示/違反報告)
なあちゃむ(プロフ) - 読んでいてその風景を思い浮かべることができました。ストーリーも本当に素晴らしくて、占ツクを読んで泣いたのは春紫苑が初めてです。本当に素敵なお話でした。また読み返します。 (2016年7月26日 17時) (レス) id: 525c05de2b (このIDを非表示/違反報告)
なあちゃむ(プロフ) - コメント失礼致します。初めまして、友達がオススメしているのを聞いて、久しぶりに占ツクにログインして春紫苑を読みました。私が期待していたイメージを遥かに超えて本当に素敵な作品でした。情景描写の美しさ、メンバーのキャラクター、すべてがイメージとぴったりで (2016年7月26日 17時) (レス) id: 525c05de2b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桜
| 作成日時：2016年6月21日 1時
