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「安藤って西畑くんと付き合うてるの？」
大学生になってから何度そう聞かれたかわからない
大ちゃんは人気者だ、女の子からも男の子からも
それなのにいつも私の隣から片時も離れずに、
私が離れようとすれば「行かないで」と甘えてくる
私はそんな彼が未だに慣れなくて、今だってそう
困惑し、カフェラテに伸びた手が震えカップが小皿の上で音を立てた
持ちそびれた右手が揺れて見え、
その視界の奥では大ちゃんが落ち着いた様子で笑みを浮かべているのがわかる
「いつも動揺するよな、A
俺もう何回泊まり行ってると思うてるん」
「…わかってるよ、別にええよ、来たらええやんか」
やけくそになって口調も荒くなったが、実際彼が私の家に泊まりにくる事には何の抵抗もない
むしろ昔から夕飯をよく食べに来たり、
お酒が呑めるようになってからはそのまま泊まって行くことも多くなったのだから
抵抗も何も、彼だから許されていると私は思っている
それでも最近の大ちゃんは何かが違う
甘える事を覚えてからの彼は、何かが違う
「……なあそれ、美味しい？」
「カフェラテ？」
「うん、美味しいなら次来た時飲んでみようかなって」
相変わらず頬杖をつきながら、彼は視線を窓の外からカフェラテへと変えた
次に此処へ来店する時は私となのか、それとも小瀧くんとなのか
彼の事だからきっと私を連れて行くのだろう
「A、帰ろ」といつもみたいに隣を歩き、
「寄り道しよっか」と誘い出す
家に帰りたがらない大ちゃんが、最近何を考えているのかわからなくなった
以前までの私なら何となくわかっていたはずなのに
ああ、大ちゃんは今眠たいんやろなあ
ああ、大ちゃんは今お腹空いているんやろなあ
そんな小さな事までわかってあげられたはずなのに、
高校卒業してからの彼は常に何かを考えていて、
何処か上の空で
「大ちゃん」
そう声を掛けると、少し遅れて「ん？」と首を傾げるのだ
「美味しいよ、これ」
「そ、じゃあ飲んでみよ」
「…大ちゃん、」
「…ん？」
いや、高校卒業してすぐの頃の彼は、
まだいつもの大ちゃんだっただろう
「…いや、なんでもないや」
「ははっ、変なの」
変わってしまったのはあの日からだ
大学生になって初めて迎えた、あの梅雨の日から
大ちゃんは良い意味でも悪い意味でも、変わってしまったのだ
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桃子(プロフ) - 桜さんの作品が何年経っても大好きです。いつかまた藤井くんに会えたら嬉しいです。 (9月28日 22時) (
レス) @page9 id: 775802b2fa (このIDを非表示/違反報告)
セミマル(プロフ) - 初めまして。素敵な作品をありがとうございます。私も更新楽しみにしています。 (2023年4月10日 23時) (レス) id: 039923312a (このIDを非表示/違反報告)
きい - 初めまして。いつか続きが更新されることを願っています。 (2022年8月22日 7時) (レス) id: a320cf1b5c (このIDを非表示/違反報告)
ここ - はじめまして。この物語を止めてしまうのは惜しすぎます。私たちにとって価値ある作品です。私は何年も待ちます。 (2022年4月1日 8時) (レス) @page9 id: 4cb3a32bb7 (このIDを非表示/違反報告)
#moo(プロフ) - 初めまして。いつか続きが読める日まで、私も頑張ります。 (2022年2月24日 8時) (レス) @page9 id: 209c66b3b9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桜
| 作成日時：2017年8月14日 23時
