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夕方の18時を過ぎた頃


後期に入り部活の終わりが早くなったという身支度も終えた藤井くんが笑いながら私達を起こしてくれた


心地の良いその笑い声を聞きながら大ちゃんは細めた目で藤井くんを捉えては柔らかく笑みを浮かべる






「流星や」


「靴箱みたらまだ靴あるからビックリしてんで俺、

保健室来てみたら仲良う寝とるしさすがに笑ったわ」





そう言って両手を差し出す藤井くんの手を二人で片方ずつ握れば優しく引いてくれて、


「帰ろ、腹減った」と彼は出口に向かって歩き出す


慌てて二人で追いかければもう真っ暗な廊下に大ちゃんは大笑いしていた






「久しぶりに部活サボってもうたなあ」


「大吾はサボりとちゃうやん、病人やわ」


「ほんまやなあ、A見てた?

俺レイアップ決めようとした瞬間に目の前真っ暗になってん、」


「ほんまにっ、…ははっ大吾消えたっ!思うたよね

あの瞬間は心臓止まる思うたけど今なら笑えるわ」






笑うなよ〜と拗ねる大ちゃんは“病人”というのをいい事に藤井くんの背中に飛び乗って、


彼も彼でそのまま大ちゃんの足を手で支えるから


久しぶりに見た気もする二人のその姿に私は思わず笑みが零れる






嬉しかったんだ


二人の友情が壊れるなんて嫌だったし、


かと言って藤井くんを一人で野に放つなんて出来ないから


藤井くんが私の家で暮らす事を受け入れてくれたであろう大ちゃんに胸を撫で下ろした







「A今から夕飯作るん、」


「そうやんっ…あーもう絶対妹帰ってきてる〜っ」


「ははっごめんな、俺も手伝うから

やから一緒に食べてもええですか?流星さん」


「なんで俺に聞くねん」


「ふふっええよ、おいで大ちゃん」






私がそう言えば藤井くんもくしゃりと笑みを浮かべ、「よっしゃ」と小さく声を上げると軽く体を跳ねさせ大ちゃんを背負い直す


するとすぐに「大吾落ちるなよ」と無邪気に歯を見せて彼は走り出した






「あかん、頭に響くて流星っ!」


「知らん」


「はあ?もう〜っ」






体力もないのに二人のやり取りで笑ってしまうから、私は走る彼等の背中を見つめながら歩く事を選んだ


藤井くんはもう見慣れた私の家の屋根が見えたから警察署の帰りのように走り出したのだろう


家の前で下ろされた大ちゃんは力なくアスファルトに座りながら背の高い藤井くんを睨みつけている


冷え込む夕方


白い息を吐きながら笑う藤井くんはとても綺麗だった






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くまりんご(プロフ) - 84話の流星と大ちゃんのくだりがとても泣けました、桜さんが書く世界観がとても好きです!!これからも頑張ってください! (2017年8月16日 23時) (レス) id: e2ac88fff8 (このIDを非表示/違反報告)
しほ - お話読ませていただきました!今までなったことないような、なんとも言えない気持ちになり、何度も何度も読み返してしまいました。これからも応援してます! (2017年4月30日 12時) (レス) id: 3dfa1a26ca (このIDを非表示/違反報告)
フレンズ - この作品、すごく好きです! 更新頑張ってください! (2017年4月20日 14時) (レス) id: 1d5f3d8302 (このIDを非表示/違反報告)
CIEL - 更新、待っていました。流星くんと大吾くんの笑顔と涙が重なって…言葉にできないけれど、頭の中に残っています。これからも、楽しみに待っています。 (2017年3月9日 23時) (レス) id: ebf57fe415 (このIDを非表示/違反報告)
のんぴー(プロフ) - 桜さん、のんぴーです。受験が終わり久しぶりに読ませていただきました。私の持っている言葉ではうまく感想が伝えられません。これからも応援してます。 (2017年3月8日 23時) (レス) id: 4a04a2b822 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2016年9月20日 19時

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