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「雪は嫌いやないよ」「ううん、私が苦しいの」
そんな言葉を交わし合い、カーテンを握り締めていた手を離して私は座っていたところに戻り髪を直した
大きく息を吸い、「ごめんね」と声を掛ければ彼は首を横に振り新しい言葉を紡ぎ出す
「親父の部屋に行く度に苦しくなってた
俺が嫌いならパズル、捨てたらええやんけって」
「…嫌われてたん」
「一回だけ親父が“息子と私を一緒にするな”って会社の人に怒鳴ってたの聞いた事あるんや
帰ろう思うたら家の中から聞こえてきてな、
…その日は俺、大吾の家に逃げたんです」
悲しげに笑い、ピースを埋めていく藤井くんは本当にジグソーパズルには慣れているようだ
私は頭を悩ませ少しも力になれないまま大切に彼の話へ耳を傾けていた
初めて彼から語られるずっとずっと抱いていた本当の想いを、
私は少しも零さないようにと小さく相槌を打ち続ける
「親父は溶けきった雪だるまの水に浸る枝の気持ちもわからへん、
こんなん薪にも出来ひんやろなんて怒鳴る人やった
小学生の頃、そんな夜空を眺めてる親父に聞いた事があります
“なあ、空には何があるん”って」
「親父さんはなんて？」
「“流星、夜空には希望が流れてるんやで”
…そう言って、こう、……あの人は手を空に向かって伸ばしてた」
愛おしそうに空高く手を伸ばし、彼の父親は流れ星に触れようとしたという
�狎韻砲麓� 届かへんで�瓩函⇒弔�った彼は呟いた
�猯�星はここに居るやろ�瓩函�父親は優しく言葉を返したという
過去を懐かしむように、藤井くんはパズルに浮かび上がる三日月を指でなぞった
「安藤さん、」と落ち着いた声が鼓膜を揺らす
「俺は親父を大切になんて出来ひんかったで
あの事件の日やってようやく解放されたと思うたんや」
「けど藤井くんは悲しんでいたよ」
「……ねえ 安藤さん、」
「ん？」
どっちが悪いんかな、俺と親父
どっちが不器用やったんかな
彼は私にそう尋ねたが、きっとどちらも不器用だったのだ
最愛の妻との間に授かった我が子は彼にとっての“希望”であり、
“流星”と名をつける程に心から愛していたはずだったのだ
「藤井くんは親父さんが好き？」と、
私は彼の父親の代わりに尋ねてみた
「…わからないです」と答えてしまう藤井くんでも、
苦しげに息を深く吸い、眉間に皺を寄せている
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くまりんご(プロフ) - 84話の流星と大ちゃんのくだりがとても泣けました、桜さんが書く世界観がとても好きです！！これからも頑張ってください！ (2017年8月16日 23時) (
レス) id: e2ac88fff8 (このIDを非表示/違反報告)
しほ - お話読ませていただきました！今までなったことないような、なんとも言えない気持ちになり、何度も何度も読み返してしまいました。これからも応援してます！ (2017年4月30日 12時) (レス) id: 3dfa1a26ca (このIDを非表示/違反報告)
フレンズ - この作品、すごく好きです！ 更新頑張ってください！ (2017年4月20日 14時) (レス) id: 1d5f3d8302 (このIDを非表示/違反報告)
CIEL - 更新、待っていました。流星くんと大吾くんの笑顔と涙が重なって…言葉にできないけれど、頭の中に残っています。これからも、楽しみに待っています。 (2017年3月9日 23時) (レス) id: ebf57fe415 (このIDを非表示/違反報告)
のんぴー(プロフ) - 桜さん、のんぴーです。受験が終わり久しぶりに読ませていただきました。私の持っている言葉ではうまく感想が伝えられません。これからも応援してます。 (2017年3月8日 23時) (レス) id: 4a04a2b822 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桜
| 作成日時：2016年9月20日 19時
