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「ごめん、先帰っててくれへんかな
ほんまにごめん、…今日は、ごめん」
彼は昔から私が悲しんでいたら部活を休んでまで一緒に帰ってくれた
「ハードルは逃げへんから」なんて言葉を並べるが、
申し訳ないからと明るく振舞い、足早に教室を出たはずなのに校門を抜けた頃には捕まえられる
「先帰んなや」って、手首を強く掴む彼はそういう人だった
けどそんな彼までも、そんな彼までもが、
「先に帰って」と一人になる事を望んだ
きっと私が教室を出たら向かうのだ
いつもの踊り場で、一人三角座りして小さくなるのだろう
なあ A
流星の事、最後までよろしくな
この日最後に聞いた大ちゃんの声はとても小さくて、
なのに何処か明るく、震えているのに笑っている
「わかった」と伝えた私の言葉を最後に、
彼はいつもより乱暴に私の頭を撫でた
別れの合図
一歩後退ると音を立てて動く誰かの机に肩を震わせ、
私は彼を置いて走り出した
ごめんね、踊り場に置き去りにして
大ちゃんはいつも手を差し伸べてくれるのに、ごめんね
息は切れ、鉄の味が口内いっぱいに広がり出す
マフラーを巻くのも忘れてただがむしゃらに走り続けた一人の帰路は思いの外寂しくなかった
きっとそう感じたのは私の心の穴が限界を迎えたからなのだろう
乾き切った土を潤す水もない
雪のように真っ白になる頭の中で辿り着いたのは見慣れた我が家ではなく、見知らぬ小さな古びた公園
整わない呼吸の中、いつ帰路を外れていたのだろうとぼんやり考えてみるが私の思考回路は上手く回らない
�燹弔瓦瓩鷁供�帰る場所間違えてもうた��
時が止まったように、息をするのも忘れた
ローファーが地面を擦れる音が静かな冬ではやけに大きく響いてしまう
凍える砂漠に立ち竦み、巻き上がる砂埃はあまりにも冷たく、
あまりにも悲しい
「……安藤さん？」
目に砂が入り激痛が走った
堪らず瞼を閉じてようやく溢れる涙はまた冬風に攫われて消えていく
せっかく貴方に名前を呼んでもらえたのに、
素敵なそのワンシーンを私は砂埃の所為で見る事は出来なかった
どんな顔をしていたのだろう、
小さな足音にも気づいてくれる貴方は、どんな顔をして私を見つけたのだろう
見知らぬこの公園の真ん中で見つけた貴方は、
両手を握り締め美しく空気を斬っていました
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くまりんご(プロフ) - 84話の流星と大ちゃんのくだりがとても泣けました、桜さんが書く世界観がとても好きです！！これからも頑張ってください！ (2017年8月16日 23時) (
レス) id: e2ac88fff8 (このIDを非表示/違反報告)
しほ - お話読ませていただきました！今までなったことないような、なんとも言えない気持ちになり、何度も何度も読み返してしまいました。これからも応援してます！ (2017年4月30日 12時) (レス) id: 3dfa1a26ca (このIDを非表示/違反報告)
フレンズ - この作品、すごく好きです！ 更新頑張ってください！ (2017年4月20日 14時) (レス) id: 1d5f3d8302 (このIDを非表示/違反報告)
CIEL - 更新、待っていました。流星くんと大吾くんの笑顔と涙が重なって…言葉にできないけれど、頭の中に残っています。これからも、楽しみに待っています。 (2017年3月9日 23時) (レス) id: ebf57fe415 (このIDを非表示/違反報告)
のんぴー(プロフ) - 桜さん、のんぴーです。受験が終わり久しぶりに読ませていただきました。私の持っている言葉ではうまく感想が伝えられません。これからも応援してます。 (2017年3月8日 23時) (レス) id: 4a04a2b822 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桜
| 作成日時：2016年9月20日 19時
