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「俺、助けられへんかった…？」
「…違うの」
「何が違うん、…安藤さんに怯えた目で見られると苦しいわ」
見つめ合ったまま 「…苦しいです」 ともう一度呟かれた言葉に涙がこみ上げるのを感じた
その言葉に応えようと口を開いた直後、
静かな教室内は騒ぎを聞きつけた教師達により声が飛び交い、
藤井くんは男性教師二人に捕まれ乱暴に教室から連れ出されて行く
無抵抗に力無く足を運ぶ藤井くん
床に竹刀が落ちる音だけがやけに大きく聞こえた
怪我をした男子生徒も保健室に運ばれ、教室に残った生徒は全員席に座らせられ五限は暫く待機となった
重たい空気
それを破ったのは男子生徒を追いかけていた彼の友達だった
「大丈夫なんかな、…今保健室行ったらあかんのかな」
「お前心配してるのそいつの事だけかよ」
「大吾は心配やないん、やってあんな血ぃ流しててさっ」
「心配も何も、理解が出来ひんねん、」
「なんで流星だけが悪者みたいになってるん」と、
大ちゃんの言葉には誰も何も返せなかった
低い声、深くため息を吐く彼の声は怒っていても表情は酷く悲しんでいるようで、
大ちゃんが今どんな感情を抱いているのかわからない
何の返事も返ってこない空間に頭を乱暴に掻いた彼は背もたれに体重を掛け、深く座ったまま言葉を続けた
「…俺は何も出来ひんかった自分が悔しいんや
お前等が憎いよ、Aの母さんのたった一つの形見やったのにって悔しくてたまらへん
けど、俺流星みたいに強くないから自分の事考えてもうた
ああ、大会に出れなくなったらどうしよう
…なんてちぃさい事、それだけで何も出来ひんって情けない
流星やって同じはずやのにな、すげぇよな流星って
他の誰かを助けられるならって自分を犠牲に出来んねんで？
すげぇよ、かっけぇよ、…かっけぇんだよッ」
最後に聞こえた涙まじりの声
それを掻き消すように大ちゃんは自分の机を蹴って天井を見上げる
彼が涙を拭えないのは両手で大切に拾い集めた 数珠 を持っているからだろう
藤井くんの手から落ちたモノも全て一人で拾い集めてくれた大ちゃんは、もう落とさないようにと大切にその数珠を両手で握りしめて、
ここにいない親友を想って泣いていた
何も出来なかった自分が悔しいと、
蹴って位置が乱れた机に何度も頭を打ち付けていた
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くまりんご(プロフ) - 84話の流星と大ちゃんのくだりがとても泣けました、桜さんが書く世界観がとても好きです！！これからも頑張ってください！ (2017年8月16日 23時) (
レス) id: e2ac88fff8 (このIDを非表示/違反報告)
しほ - お話読ませていただきました！今までなったことないような、なんとも言えない気持ちになり、何度も何度も読み返してしまいました。これからも応援してます！ (2017年4月30日 12時) (レス) id: 3dfa1a26ca (このIDを非表示/違反報告)
フレンズ - この作品、すごく好きです！ 更新頑張ってください！ (2017年4月20日 14時) (レス) id: 1d5f3d8302 (このIDを非表示/違反報告)
CIEL - 更新、待っていました。流星くんと大吾くんの笑顔と涙が重なって…言葉にできないけれど、頭の中に残っています。これからも、楽しみに待っています。 (2017年3月9日 23時) (レス) id: ebf57fe415 (このIDを非表示/違反報告)
のんぴー(プロフ) - 桜さん、のんぴーです。受験が終わり久しぶりに読ませていただきました。私の持っている言葉ではうまく感想が伝えられません。これからも応援してます。 (2017年3月8日 23時) (レス) id: 4a04a2b822 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桜
| 作成日時：2016年9月20日 19時
